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 文化庁長官の諮問機関である文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会の第1回会合が、2006年4月6日に開催された。MDやDAT、記録型CD、記録型DVDなどに賦課されている私的録音録画補償金制度の抜本的な見直し作業を始める。今後、おおむね月1回のペースで会合を開き、2007年末をメドに結論をまとめる。

 補償金制度をめぐっては、2005年度の文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会で、米アップルコンピュータの「iPod」を始めとするハードディスク内蔵型の携帯型音楽プレーヤーを、制度の対象として追加指定するか否かで激しい議論が展開された。権利者団体は補償金の対象となる機器や媒体を増やすことを求めた一方、メーカー側は補償金制度を廃止し、DRM(digital rights management)を活用した新たな徴収制度への移行を訴えた(関連記事1関連記事2)。結局、携帯型音楽プレーヤーの追加指定は見送り、補償金制度自体についても抜本的に見直すという結論に達した(関連記事3)。

 今回の私的録音録画小委員会では、こうした背景を踏まえ、デジタル形式の音楽や映像を複製する際の対価のあり方について検討する。補償金制度の廃止や代替制度の創設といった可能性も含めて議論していく。議論の場も従来の法制問題小委員会から独立させ、補償金制度の問題に特化した小委員会を新設した。

 実質審議は2006年5月17日の第2回会合以降となるが、今回の第1回会合に出席した委員からは、「権利者の保護とユーザーの利用促進のバランスをうまく取っていきたい」「将来的にはDRMが理想的な仕組みであるとは思うが、現時点でどの程度のことが可能なのかを確かめたい」「DRMを導入する場合にシステム構築や運用にかかるコストを勘案し、費用対効果がどの程度見込めるかを検討したい」「現行の補償金制度はユーザーに広く認知されているとはいえず、ユーザーへの理解拡大に努めたい」「諸外国でどのような仕組みを採っているのかを踏まえて議論したい」などの意見が出た。