楽天広場リンクスについて説明する楽天の和田圭氏
楽天広場リンクスについて説明する楽天の和田圭氏
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 楽天は2006年4月4日、同社が3月27日から開始したソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「楽天広場リンクス」の機能や今後の戦略について説明会を行った(関連記事)

 楽天広場リンクスは自分自身のページ内で日記や写真を公開したり、友人などとメッセージをやりとりできるなど、基本的なSNSの機能を搭載。登録している友人を「会社」「高校時代の部活仲間」などとグルーピングすることもできる。これらのグループごとにプロフィールの公開範囲を設定したり、グループ全員に一括でメッセージを送ることも可能だ。なお、これらのグルーピングを利用した機能はSNS最大手のmixiは持ち合わせていない。

 楽天広場リンクスは、SNSの基本的な機能は持ち合わせてはいるものの、サービスとして疑問が残る部分もある。自分のページ内で公開する日記は「楽天広場ブログ」の内容を表示するため、楽天広場ブログを利用しなければ日記を書けないのだ。そもそも限られた人にしか公開しないというのがSNSのメリットなのに、日記が誰でも見れるものと同じではSNSとしての魅力は乏しい。自分のページ内に表示できるオンラインアルバムは、「楽天広場フォト」を利用するため、自分のページ内で写真の追加や削除ができない。日記もアルバムもSNSから、それぞれのサービスにリンクが張られているだけで、使い勝手がよいとはいえない。

 これらの点に関して楽天のポータル・メディア事業カンパニー ツール・コミュニティ事業本部の和田圭本部長は「まずはサービスを開始したばかりの段階。他のSNSに劣る機能に関しては随時優先順位を考えアップデートしていきたい」としている。

「SNSで獲得したユーザーを、自社のサービスに誘導する」

 「SNSに参入しようとした1番の理由は、SNSにおいてマーケティングや口コミ効果が非常に高いためだ」(和田氏)というように、楽天が最終的に狙うのはSNSで獲得したユーザー層を、自分たちのショッピングモールなどに誘導すること。同じ嗜好(しこう)を持つユーザーが集まる「コミュニティ機能」やアフィリエイトを順次導入し、ユーザーの口コミを楽天全体の収支に結びつけたい考えだ。

 楽天は今回の楽天広場リンクスのサービス発表と同時に、これらのSNS機能を「みんなの就職活動日記」のユーザーにも提供した。みんなの就職活動日記は利用者のほとんどが就職活動中の大学生。ユーザー層がすでに限定されるため、やりとりされる情報の質が高まり、楽天にとってもマーケティングがしやすくなるというメリットがある。他にも楽天が持つゴルフ場予約サイト「GORA」などにもSNS機能を持たせていきたいという。GORAにSNS機能が加わればゴルフ仲間同士のコミュニケーションが活発になり、そこでの情報は「ゴルフ好きが集まっているのだから」ということで「必然的に信頼性が高まる」(和田氏)という。

 最終的な楽天広場リンクスの形は「プライベートポータルが理想」(和田氏)。楽天広場リンクスの自分のページに、ユーザーが住んでいる地域の天気予報や、ユーザーが持っている株の株価情報など、個人に特化した情報を載せていきたいという。すでにmixiが始めているニュースの提供に関しても「楽天が持つポータルサイトinfoseekと連携するなどして実現していきたい」(和田氏)としている。