iPodの対抗だ、いや新しい携帯端末だ、などと騒がれたマイクロソフトのプロジェクト「Origami」の正体は、小型のタブレットPCと判明した。正式名称は「Ultra-Mobile PC(UMPC)」。UMPCは、重さが0.9kg以下で、7インチ程度の液晶を搭載といった仕様が定められている。ハードウエアとしてのキーボードは搭載せず、タッチパネル付きの液晶にペンや専用のソフトウエアキーボードを使って入力するのが特徴だ。
マイクロソフトではUMPCを小型のノートパソコンとPDAとの間のマーケットを埋める製品として位置付けている。価格も599~999ドルという範囲で想定。日本では、PBJが10万円程度で4月に発売する計画だ。
使い勝手はまだ発展途上
UMPCに実際に触れてみたが、目玉としているソフトウエアキーボード「Dial Keyboard」は、キーを押して変換する作業が面倒で、使いやすいとはいえなかった。日本語ならDial keyboardよりも、ペンで入力した方がはるかに効率的だ。バッテリー駆動時間も2時間半程度と、持ち運んで使うにはやや心許ない。ただしこれらの点についてはマイクロソフトも十分理解しており「ようやく製品の第一弾が出た段階。これから改善を加えていく」(マイクロソフト)という。
UMPCの成功には、さまざまなメーカーから製品が登場することが欠かせないが、今のところ国内外の大手パソコンメーカーによる製品化の動きはない。ただ、マイクロソフトは、簡単にあきらめることはなさそうだ。というのは製品のコンセプト自体は、マイクロソフトの戦略に極めて合致しているからだ。同社はWindows XPの発売後、AV環境で使うMedia Center Edition、そして業務用途や教育市場を狙うTablet PC Editionなど、Windowsの利用環境を拡大する方向でOS を展開してきた。今、モバイル市場にはWindows CE、Windows Mobileという専用OSがあるが、パソコン用Windowsのアプリケーションは基本的には動かない。業務用の携帯用小型端末でもWindows用のアプリケーションを使いたいという要望は多く、PDAのような小型携帯端末にWindowsを搭載する動きはむしろ当然といえる。
日本人好みの小型のハードウエアだけに、辛い評価が多いUMPCだが、OSという視点で見ると、将来を見据えた戦略製品といえる。