Windows本部 ビジネスWindows製品部 シニアプロダクトマネージャーの飯島圭一氏
Windows本部 ビジネスWindows製品部 シニアプロダクトマネージャーの飯島圭一氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「Tablet PCが失敗したのは、最初に出したとき、ユーザーに『どう使えばよいのか分からない』と思わせてしまったことが原因だったと思う」。こう語るのは、マイクロソフト日本法人でUltra-Mobile PC(UMPC)事業を統括している、Windows本部 ビジネスWindows製品部 シニアプロダクトマネージャーの飯島圭一氏だ。2006年4月4日に開催したUMPCの発表会で、日経パソコン誌記者に語った(関連記事)。

 「例えばTablet PCの発表当時、ペン入力ができることや、文字認識機能を備えていることを特徴としてアピールしていた。しかし多くのユーザーにとっては『自分はキーボードを使えるから、別にTablet PCを使わなくてもよい』と思わせてしまった。機能をアピールすることに加え、アプリケーションソフトとの組み合わせでどのように活用できるのかを示しておくべきだった」と飯島氏は振り返る。

 当時の反省を踏まえ同社は、UMPCではマーケティング手法を改める。当面は教育関連や、Tablet PCの導入実績がある金融、流通などに対象を絞る。例えば学校向けでは、漢字の書き取り練習や、いわゆる百ます計算用のソフトウエアなどを組み合わせた使い方を提案する。

 同社では、個人ユーザーに向けた事業展開は、当面考えていない。「日本の個人ユーザーはモバイル機器に対して非常に厳しい目を持っている。今、日本で個人ユーザー向けに製品を出しても受け入れてもらえない恐れがある。米国など海外はともかく、日本法人のマイクロソフトとしては、Ultra-Mobile PCの事業展開について慎重にみている。きちんと使い方を提案できる教育関連から事業を始める。その中で、日本市場でどんな製品が求められているかを調べ、ユーザーの声を集めて今後の製品に反映させたい」(飯島氏)とする。

 一方でUMPCの将来性については自信を示した。教育関連のソフトウエアを個人ユーザーに向けて展開し、大ヒットさせた「ニンテンドーDS」について飯島氏は、「ペン入力を広く普及させた存在でもあり、すごいと思っている」と述べた上で、「ただし、UMPCであればより多くの使い方を提供できる。例えば『えいご漬け』のような学習ソフトであれば、ユーザーがどのような場面でよく間違えるのか、傾向を分析して示すといったことが可能だ」とした。