写真1 HSDPA/無線LAN/GSMなどに対応する「WK3」
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写真2 テックフェイスの董徳福CEO
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 富士通系のベンチャー企業であるネットツーコムは4月4日,W-CDMAの高速版「HSDPA」とIEEE 802.11b/g対応の無線LAN,海外の携帯電話で主流のGSM/GPRSの3規格に対応する携帯電話端末の試作機「W3K」を発表した(写真1)。同社ではビジネス向けの端末として,国内携帯電話メーカーや携帯電話事業者,MVNO(仮想移動通信事業者)へ売り込む。メーカーや事業者は同試作機をベースにして,新端末の開発・製造が可能になる。

 W3Kは中国の携帯電話設計の専門会社であるテックフェイス・ワイヤレス・コミュニケーション・テクノロジー(徳信無線通信科技有限公司,董徳福CEO)と共同開発した(写真2)。米クアルコムのチップセット「MSN6280」を搭載。無線LANの電波が届く場所では無線経由のIP電話端末として,届かない場所ではW-CDMA HSDPAやGSM/GPRSの端末として利用できる。W-CDMA HSDPAは1.7GHz帯と2.1GHz帯の周波数に対応する。

 OSはWindows Mobile 5.0またはWindows CE 5.0から選択可能。いずれのOSでもWebブラウザや電子メール・クライアント,動画再生ソフトなどをあらかじめ内蔵できる。Windows CE 5.0を搭載した場合,無線IP電話端末としての待ち受け時間は最大100時間を超えるという。これはネットツーコムが独自開発した省電力技術によって実現した。

 また,WindowsベースのOSなので業務アプリケーションの開発が容易。メーカーや事業者へ提供する際は,ユーザー・インタフェースのカスタマイズなどにも応じるという。

 なお,共同開発先のテックフェイスは米ナスダックに上場する企業。日本メーカーが発売する携帯電話端末には,同社が設計に参加した製品も少なくない。2003年にはNECと携帯電話を設計する合弁会社「STEP Technologies(Beijing)」を設立した。