NTTグループは3月31日,次世代ネットワーク(NGN)のフィールドトライアルを2006年12月から実施すると発表した。トライアルの目的は「本サービス開始に向けた技術確認と,ユーザーからの要望を把握するため」(NTTの橋本信取締役第二部門長・第二部門次世代ネットワーク推進室長)。次世代ネットワークの構築ロードマップは2005年11月に発表したNTTグループの中期経営戦略で公表されているが,具体的なプランが明らかになったのは今回が初めて。
フィールド・トライアルは2006年12月から約1年間,3期に分けて実施する。第1期は東京・大阪のNTTのショールームで,第2期は首都圏と大阪のNTTグループ社員を対象に,第3期は一般ユーザーから希望者を募って行う。トライアルの規模は,最大で約1000ユーザー程度になる見込み。
トライアルで検証するサービス内容は,音声や映像の品質制御機能(QoS)や,ハイビジョン・クラスの映像配信を実現するIPマルチキャスト機能,不正アクセスを防止するためのセキュリティ機能など。橋本取締役は「特にH.264の動画配信コーデックを使ったハイビジョン(HD)映像のIPマルチキャスト配信を重視している」と語り,総務省で議論が進んでいる地上デジタル放送のIPマルチキャストによる再送信の認可と呼応する動きも見せた。
NTTの次世代ネットワークについては,NTTグループの一体化が進むため,他の事業者からは「独占回帰ではないか」という反発の声が上がっている。その批判をかわすためか,NTTの和田紀夫社長は「基本的に誰でも参加を受け付ける」オープンな形のトライアルであることを強調。情報家電ベンダーやインターネット接続事業者(ISP),他の通信事業者など幅広く参加者を集める姿勢を見せた。2006年7月をめどに,アプリケーションや端末,他の通信事業者からの接続条件などを開示するという。