NECビッグローブの社長に就任するNECの片山専務
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会見で握手するNECビッグローブと出資各社の首脳陣
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成長が鈍化しているBIGLOBE事業に、分社化と出資受け入れで活を入れる
成長が鈍化しているBIGLOBE事業に、分社化と出資受け入れで活を入れる
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 NECはインターネット接続プロバイダー(ISP)「BIGLOBE」事業を分社化することを正式に発表した。住友商事など5社が、新会社に資本参加し、BIGLOBEにコンテンツやサービスも提供する(発表資料)。分社化と5社の資本参加により、個人向けのコンテンツ販売や法人向けのサーバー提供といった付加サービスを強化し、売り上げの拡大を図る。

 7月1日に新会社「NECビッグローブ」を設立。7月末をメドに5社を対象にした第三者割当増資を実施し、127億円を調達する。増資後の資本金は104億円で、NECが78%を出資するほか、住友商事が7%、大和証券グループ本社と三井住友銀行が各5%、電通と博報堂が各2.5%を出資する。新会社の社長は、NEC執行役員専務でパソコン事業を統括している片山徹氏が兼務する。

 新会社では、コンテンツ販売を始めとする付加サービスを強化することで事業規模の拡大を図る。個人会員に対しては、BIGLOBEのWebサイトで展開している物販サイト事業や動画コンテンツの販売事業を拡充する。BIGLOBEのWebサイトにおける広告配信も増やす。法人顧客に対しては、映像配信やメール配信、仮想店舗、認証、課金といった機能を持つサーバーをASP(application service provider)形式で提供するほか、ホスティングやハウジングなど、企業サイト構築に必要なサービスを提供していく。「これまでBIGLOBE事業への投資額は年間60億円~70億円程度」(片山氏)だったが、増資により調達した資金を生かし投資額を増やし、サービス拡充のテンポを速める。

 住友商事は物販サイトの運営に関するノウハウをBIGLOBEの物販サイト向けに供与していく。大和証券グループ本社は金融関連ニュースなどのコンテンツをBIGLOBEへ提供する。三井住友銀行は物販サイトやネットオークションにおける決済サービスをBIGLOBE上で展開する。電通と博報堂はネット広告の企画や、会員属性などに応じたターゲット広告の展開で協力する。「これまではNECがBIGLOBE事業をすべて仕切ってきたが、もう一度さらなる飛躍をするためには新しい血を入れないとダメだと考えた。(分社化で)パートナー企業が参加しやすい環境とした一方、パートナー企業には出資してもらい、退路を断って本気で参加してもらう」(NEC 代表取締役 執行役員副社長の川村敏郎氏)。

 2005年度のBIGLOBE事業の売上高は約600億円の見込みだが、ここ1~2年は売上高の伸びが鈍化してきている。新会社では「接続料を始めとするISP関連の収入を安定的に確保した上で、コンテンツ販売やサイト構築などの付加サービスからの収益を拡大する」(片山氏)。新会社ではこれらの施策により売り上げを再び拡大基調にし、2008年度をメドに1000億円の事業規模にすることを目指す。