総務省は3月27日,VHF/UHF帯の2011年以降の割り当てについて議論を開始すると発表した。VHF/UHF帯は現在アナログ地上波テレビ放送が利用しているが,デジタル化に伴い2011年から2012年にアナログ放送を停波。大部分が空き周波数となる。総務省はテレビ以外の放送や移動通信などに空いた周波数を活用することで,電波の有効利用を目指す。

 これに伴い本日から4月27日まで,民間企業などからVHF/UHF帯への導入を計画する電波システムの提案を公募する。応募する企業は,導入時期,利用イメージ,技術方式,必要な周波数帯と周波数幅,複信方式などを記した提案書を総務省に送付する必要がある。この提案をベースに,VHF/UHF帯の再編計画の議論を進めることになる。

 具体的には,90M~108MHz,170M~222MHz,710M~770MHzが空き周波数となる。このうち710M~770MHz帯は,携帯電話への割り当てが有力視されている。遠くまで届き,屋内浸透性の高い800MHz前後の周波数帯は,多くの携帯電話事業者が割り当てを希望する可能性が高い。事業者間でし烈な争奪戦が起こりそうだ。

 まずは,導入する技術方式やその周波数帯,周波数幅といった技術的条件について議論する。この議論を進めるため,情報通信審議会の下部組織として「電波有効利用方策委員会」を設置。主査には中央大学理工学部の土井範久教授が就任した。遅くとも5月には第1回会合を開催し,2007年6月ころに情報通信審議会が答申を出す予定だ。

 実際に利用できるのが2011年以降のため,現在の技術方式で技術的条件を決めると陳腐化する恐れがある。しかし「2011年時点の技術動向を見極めてからでは,周波数割り当てが遅くなりかねない」(総務省)と判断。できるだけ早く技術的条件を決め,技術の進展に応じて見直していく方針でVHF/UHF帯の再編を進める。