説明をした大澤智喜 代表取締役
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11nではストリーム数が速度を決める大きな要素となるという
11nではストリーム数が速度を決める大きな要素となるという
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11nでは4ストリーム、40MHzの周波数帯で最大600Mbpsに到達する
11nでは4ストリーム、40MHzの周波数帯で最大600Mbpsに到達する
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 無線LANチップメーカーのアセロス・コミュニケーションズは3月27日、新しい無線LAN方式IEEE802.11nの草案(ドラフト)について詳細を説明した。11nは100Mbps以上の実効速度を目指した通信方式で、既に2006年1月に草案が決定。2007年4月に正式に規格化される見通しである。

 代表取締役の大澤智喜氏は「オプションが複数ある」として、11n仕様が高速通信と同時に柔軟性も持たせた方式だと解説。通信方式には11a/b/gと同じレガシーモード、高速化しつつ11a/gとの互換性も持たせたミックスモード、11n同士の通信に最適化したグリーンフィールドモードの3種類があると説明した。

 11nの必須項目は、レガシー/ミックスモードの対応、従来の11a/gと同じく20MHzの周波数帯域を使用することなど。オプション項目として、グリーンフィールドモードや、通信に使う周波数帯を40MHzに拡張することなどがある。

 11nでは通信の高速化のために、複数のアンテナを利用するMIMO(マイモ)方式が使われる。従来は、送信と受信のアンテナの数を指して「2×2」「2×3」などと表記することがあった。ところが11nでは、アンテナの数ではなく、1度に送信するデータの流れ(ストリーム)の数が速度を決める大きな要素となるという。アンテナを増やすことでも高速化できるが「より安定した受信ができる」(大澤氏)という程度だという。

 20MHzの帯域を使い、1ストリームを送信した場合の通信速度は65Mbps。2ストリームでは倍の130Mbpsとなる。これに干渉を防ぐためデータ間に挿入する間隔(ガードインターバル)を400nsと従来の半分にする方式を利用すると、速度は144.4Mbpsに向上する。さらに帯域を40MHzに拡大した場合は300Mbpsとなる。すでに、この方式で最大300Mbpsを実現する無線LANチップを2月16日に同社は発表している。

 現状では、40MHzの帯域を使った通信は国内で認められていない。40MHz通信の認可について、総務省には「積極的に検討を進めてもらっている」(大澤氏)と楽観的な見通しを示した。