総務省は3月27日,次世代無線LAN規格「IEEE 802.11n」(11n)導入に向け,5GHz帯の技術条件を見直すべく審議を開始すると発表した。この規格は100Mビット/秒以上の実効スループットを実現するもの。FTTH(fiber to the home)の通信速度と比べても見劣りしない。9月ころに情報通信審議会が答申を出す予定で,省令改正などを経て実際に利用可能になるのは2007年春ころになる見込みだ。

 議論の対象となる周波数は,無線LAN用途に割り当てている4.9G~5.0GHz,5.03G~5.091GHz,5.15G~5.35GHz。さらに「2.4GHz帯も検討する可能性がある」(総務省の今井清春基幹通信課課長補佐)としている。

 主な検討課題は大きく二つある。一つは,通信チャネルを束ねる「チャネル・ボンディング」技術の導入。11nでは,1チャネルに従来の2倍に当たる40MHzを割り当てて高速通信を実現する。その際の最適なチャネル配置や,気象レーダーなどほかの無線システムとの共用などについて検証し,導入のための技術的な条件を決める。

 もう一つが,複数のアンテナで送受信する「MIMO」(multiple input multiple output)技術の導入。すでにバッファローやネットギアなどがMIMO技術を利用した無線LAN機器を発売しているが,電波の強さに当たる「空中線電力」の測定方法が明確化されていない。今後の審議で測定方法を明確化し,その運用方法などを決める。

 これらは,情報通信審議会の下部組織である「5GHz帯無線アクセスシステム委員会」において議論する。次回会合は4月下旬ころに開催する予定だ。