日本オープンウェーブシステムズMVNO事業企画部の伊藤みどりマネージャ
日本オープンウェーブシステムズMVNO事業企画部の伊藤みどりマネージャ
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 日本オープンウェーブシステムズは4月1日,MVNO(仮想移動体通信事業者)への参入を目指す企業に対し,コンサルティングやシステムの導入,運用,保守などを提供するサービスを始める。同社は米国で既に,このサービスを提供中だ。MVNO事業企画部の伊藤みどりマネージャ(写真)に,日本でのサービス戦略を聞いた。

--海外では,どのような企業がMVNOに参入しているのか。

 海外でMVNO事業に成功している企業は,4パターンに分類できる。一つは流通業。販売網を活用して携帯電話を売る。つまり,集客をしなくても顧客が来ることが特徴だと言える。次に通信事業やポータルを営む企業。ネットを使うユーザーに対し,手持ちのノウハウを使ってサービスをする。ネット・サービスと携帯の利用料を一緒に請求できるなどの優位点がある。
 三つ目はブランド力がある企業。ヴァージン・モバイルなどはこの分野に入るだろう。特定のユーザー層を魅了するようなサービスを提供できる。それからウォルト・ディズニーのように,付加価値が高いコンテンツを持っている企業だ。
 ここから,MVNOで成功するためのポイントが浮かび上がってくる。一番重要なのは,MVNOに参入しようとする企業が強い特徴を持ち,それを前面に押し出して差別化を図ることだ。端末をどうするかの戦略も重要。例えば日本の端末は多少の違いはあるが,形状は似ている。この点に注目して差別化を図る方法もあるだろう。

--MVNOにはどのような参入形態があリ得るのか。

 MVNOの定義はまだ揺れ動いていると思うが,「Thin MVNO」から「Thick MVNO」まで多様だと考えている。販売とマーケティングだけをしていくのがThin MVNO。それが課金と顧客サポートもして,端末も手がけ,サーバーなどのデータ・プラットフォームも自身で抱え,さらに運用や保守もする,というように多くのことをするにつれてThick MVNOに近づいていく。
 例えばThin MVNOであればすばやくサービスを始められる。流通業は既に販売網を持っているため,このタイプが向いている。ウォルマートは同社の店舗で,シンプルさを売り文句に課金プランなどを単純化した携帯電話を販売している。

--こうした参入を考える企業に対して,オープンウェーブができることは何か。

 日本のMVNOはこれからの市場。今の状況は,「興味がある」「ちょっと話をしてみたい」という感じだ。だが,携帯電話事業とは程遠いビジネスを手がけている企業のMVNO参入を支援する機会が出てくる。米国では,携帯電話の全通信量の5~15%がMVNO事業者によるもの。日本でも同じくらいはいけると思う。
 オープンウェーブはサービス提案,構築するシステム,端末戦略に関するコンサルテーションをサービス提供する。またアプリケーションの開発やシステムの最適化,さらにシステムの構築や運用も請け負う。インテグレーションを担当するケースもある。
 最近同じビジネスへの参入を表明した企業は,他にもある。だが我々には「海外で既に実績がある」「携帯事業者のネットワークに関連する製品を持っており,トータルで参入を支援できる」といった強みがある。例えばブラウザなどの携帯端末向けソリューションや,携帯事業者が導入するアクセス・ゲートウエイなどの製品を手がけている。通信事業で必要なサーバー・ソリューションや端末も含め,総合的なMVNOビジネスのサポートが可能だ。
 米国ではMVNOのトラフィックのうち85%が,何らかの形でオープンウェーブのソリューションやサービスを使っているものと見ている。