写真1 JIAA会長を務める電通の森隆一氏
写真1 JIAA会長を務める電通の森隆一氏
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写真2 JIAA映像広告部会で部会長を勤める電通の峯川卓氏
写真2 JIAA映像広告部会で部会長を勤める電通の峯川卓氏
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 インターネット広告推進協議会(Japan Internet Advertising Association:JIAA)は3月27日,ネット上の動画配信サービスなどで提供される動画広告の市場規模を発表した。インターネット広告費全体に関しては,電通が毎年発表する「日本の広告費」などで市場規模が報告されているが「動画広告に限定した市場規模を公開するのは初めて」(JIAA会長を務める電通の森隆一氏,写真1)。

 JIAAはインターネット広告のガイドラインなどを決めている業界団体で,電通,博報堂といった広告代理店のほか,新聞社,テレビ局,雑誌社,ネット企業の142社が参加している。「現在提供されている動画広告は,JIAAの参加企業が提供しているものがほとんど。そこで参加企業の売上高から市場規模を推定した」(JIAA映像広告部会部会長の電通・峯川卓氏,写真2)。

 動画広告の市場規模は,2004年で約1億円,2005年に約5億円。「2006年は広告モデルの無料動画配信サービスの新規参入の影響もあり,2005年の約6倍の30億円程度の規模にまで成長する」(峯川氏)と説明した。

 JIAAが市場規模を推定したのは,以下の定義に合致した動画広告だ。

 (1)インターネット,携帯電話を含む通信回線上のサービスの広告スペースで提供されるもの,(2)広告表現には映像と音楽を使用し,ストーリーをもって提供されるもの。フラッシュ・バナーのような同じ映像がループして提供されるものは含まない,(3)配信方式は問わないが,ストリーミングかダウンロードかによって権利許諾の条件が異なるので明記すること,(4)地域限定配信の場合も許諾条件が異なるの明記すること--となっている。

 JIAAでは,上記の4点を満たす広告を「インターネットCM」と定義している。基本的には,テレビCMをネット上で流したものと考えればよい。ネット上で配信されるCMには,「動画広告」,「ストリーミング広告」,「ネット広告」,「リッチ・バナー」など複数の呼称がある。峯川氏は「2005年に急に動画広告市場が急激に立ち上がり,業界内に混乱がある。名称と定義が定まらないことでが権利者に誤解を与えてしまう」と,改めて定義付けする意義を訴えた。今後,JIAAではインターネットCMに関するガイドラインなども公開していく計画だ。