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 政府が1月19日に公表した国の情報化計画「IT新改革戦略」。同戦略の策定メンバーの一人である東京工業大学の大山永昭教授に聞いた。

■IT新改革戦略では、「国や自治体に対する申請手続きのうち、電子申請の割合を2010年度までに50%以上に高める」としています。これは、かなり挑戦的な目標に見えます。

 今までこの分野は、公的個人認証サービスによる本人確認の仕組みや、専用回線を利用して安全性を高めた行政ネットワークなど、インフラの構築に時間がかかっていました。今後は、構築フェーズから安定稼動のフェーズに移ります。国民がITの恩恵を実感できるようにするのは、50%は最低ラインです。この実現は容易ではありませんが、目標を達成するために全力で取り組む必要があります。

■目標達成のポイントは何でしょう。

 各省庁にまたがる電子申請手続きの一元化が重要です。これを実現した好例が、「自動車保有関係手続のワンストップサービス」(http://www.e-onestop.jp/)です。自動車を取得すると、車庫証明の取得や自動車税の納付など、管轄する省庁の異なるさまざまな手続きが必要になります。このサービスを利用すれば、自動車を取得する際に必要な行政手続きを、パソコンから一括して実行できます。省庁を横断する仕組みを実現したこのサービスは、評価に値します。

 各省庁にまたがる手続きの一元化には、システムの全体最適化が必要になります。今は各省庁がバラバラにシステムを構築しており、システムの資産台帳はあるが、中がどうなっているのかが分からないのが実情です。システムの整備には、投資の概念が必要です。年間で運用費に1億円以上かけている各省庁の77システムを調査したところ、システムの最適化でコストを大幅に抑えられることが判明しました。77以外のシステムについても棚卸しをしてシステムの中身を調べれば、最適化を進められると考えています。

・松田岩夫IT担当大臣インタビューはこちら
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