IP電話事業者のフュージョン・コミュニケーションズは、「050」で始まる11ケタのIP電話用番号を使って、携帯電話とIP固定電話を連携させて使える新サービス「モバイルチョイス“050”」を、4月1日から始めると発表した。IP固定電話への発信を携帯電話に転送したり、同じ番号で携帯電話から発信できる。

 フュージョンは、今回の新サービスをパートナーにもOEM(相手先ブランドによる生産)で卸売りする。ソリューションプロバイダにとっては、フュージョンが提供する基本機能に独自の機能を追加して新サービスとして販売したり、顧客に提供するソリューションに今回の電話サービスを組み込んで提供したりできるようになる。

 企業ユーザーが新サービスを使うメリットは、社員が個人で持つ携帯電話機をそのまま使って、社用と個人の通話を分計できる上に、社用電話の時には相手に伝わる発信者番号を会社のIP固定電話そのものにできることだ。社員は、個人の携帯電話番号を仕事相手に明かさずに済む。また、会社のIP固定電話あてにかかってきた通話を、携帯電話機でも受け取ることができる。

 具体的には、ユーザーが携帯電話から社用の電話をかける場合には、相手先番号の前に「0037-67」という事業者番号を付けて発信する。すると、通話はフュージョンのIP電話網内で「転送」され、「050」番号を持つ会社のIP電話から発信した形になる。また料金も個人ごとにではなく、会社に一括で請求がいく。

 逆に、会社の「050」番号にかかってきた通話は、網内の設定を参照した上で、会社のIP電話にそのまま着信させたり、対応する個人の携帯電話機に転送したりする。この設定は各社員が変更できる。こうした仕組みのため、顧客企業はあらかじめ「モバイルチョイス“050”」とIP電話サービス「FUSION IP-Phone」の両方の契約を結ぶ必要がある。1番号当たりの基本料は、合計で月額609円である。

 新サービスは、端末の融合までは実現していないが、同一番号での発着信までは実現した「FMC」(フィクスド・モバイル・コンバージェンス=携帯・固定電話の融合)サービスといえる。現状で、固定・携帯のどちらで着信を受けるかはマニュアルで設定する必要がある。しかし、パートナーのソリューション次第で、企業の情報システムなどと連携させるなど、より使い勝手を良くする手段があるという。