情報処理推進機構(IPA)は3月22日,2005年の情報セキュリティに関する“10大脅威”とその対策方法などをまとめた「情報セキュリティ白書2006年版」を公表した。それによると,「SQLインジェクション」の脆弱性(セキュリティ・ホール)を突いた攻撃や,ファイル共有ソフト「Winny(ウィニー)」経由で情報を流出させるウイルス(悪質なプログラム)などを,2005年の大きな脅威として挙げている。

 同白書は,2005年中にIPAに報告されたウイルスや脆弱性情報などを基に,ベンダーや組織の専門家で構成される「情報セキュリティ検討会」によって検討され,まとめられた。

 同白書では,2005年の“10大脅威”として以下の項目を挙げている。

  1. 事件化するSQLインジェクション
  2. Winnyを通じたウイルス感染による情報漏えいの多発
  3. 音楽CDに格納された「ルートキットに類似した機能」の事件化
  4. 悪質化するフィッシング詐欺
  5. 巧妙化するスパイウエア
  6. 流行が続くボット
  7. Webサイトを狙うCSRF(クロスサイト・リクエスト・フォージェリ)の流行
  8. 情報家電,携帯機器などの組み込みソフトウエアに潜む脆弱性
  9. セキュリティ製品の持つ脆弱性
  10. ゼロデイ攻撃

 これらの脅威に対抗するために,ユーザーには,

  • 安全な(複雑な)パスワードを設定する
  • コンピュータを最新の状態に保つ(脆弱性をふさぐ)
  • 信頼できないソフトウエアやデータを使わない
  • Winnyなどと重要な情報を一緒にしない

といった対策を施すよう呼びかけている。

 また,管理者の対策としては,

  • 総合的なセキュリティ・レベルを保つ
  • 品質管理や保守作業と同様に,セキュリティ対策の体制を確保する

開発者の対策としては,

  • セキュリティはソフトウエアの必須機能と考える
  • 安全なソフトウエアの作り方について学ぶ

などを挙げている。

 IPAでは白書の要約(PDFファイル14ページ)と,白書の全文(PDFファイル96ページ)を用意。いずれもWebサイトからダウンロードできる。

◎参考資料
プレス発表「情報セキュリティ白書2006年版」の発行について
◆ニュースリリース全文・情報セキュリティ白書抜粋版付(PDFファイル,909KB)
情報セキュリティ白書 2006年版-10大脅威「加速する経済事件化」と今後の対策-
◆情報セキュリティ白書 2006 年版 - 10大脅威「加速する経済事件化」と今後の対策-(PDFファイル,2.6MB)