写真1 ソフトバンクの孫正義社長(中),ボーダフォンのビル・モロー社長(左)およびヤフーの井上雅博社長
写真1 ソフトバンクの孫正義社長(中),ボーダフォンのビル・モロー社長(左)およびヤフーの井上雅博社長
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写真2 ヤフーの集客力を携帯電話事業にも活用
写真2 ヤフーの集客力を携帯電話事業にも活用
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 ソフトバンクが3月17日,ついにボーダフォン買収を発表した。ソフトバンクの孫正義社長は,ボーダフォンのブランドについて,「基本的には新しいブランドに切り替える。端末,お店のデザインなどを半年から1年かけて徐々に準備していく」とし,新ブランド名で携帯電話事業を展開することを明らかにした。

 孫社長は「決して総合通信会社になったとか言わないでいただきたい。私の志からはちょっと小さい。総合デジタル情報カンパニーが目指している姿」だと主張する。ヤフーのポータル・サイトやコンテンツを活用したビジネスを携帯電話事業にも全面的に活用。日本のボーダフォンの買収にとどまらず,英国のボーダフォンとジョイント・ベンチャーを立ち上げる計画で,約5億という全世界のボーダフォン・ユーザーに対して,同社がコンテンツ・サービスを展開するもくろみを語った。

 買収発表では,ソフトバンクの孫社長とボーダフォンのビル・モロー社長だけでなく,ヤフーの井上雅博社長も登壇(写真1)。ヤフーが持つ集客力の高いポータル・サイトを携帯電話事業にも生かすことを説明した(写真2)。

 2005年11月に認可を受けた1.7GHz帯の周波数について,孫社長は「今後,総務省と相談しながら進むべき方向性を検討する」と発言するにとどめた。ただし,「もし1.7GHz帯を返すことになれば,そのときは既存事業者としてNTTドコモやauとのイコール・フッティング,例えば高速データ通信のための周波数帯を持っているか,800MHz帯などより使いやすい周波数帯が他の2社と比べてどうなのかといった面も含めて総合的に検討していきたい」(孫社長)と主張。NTTドコモ,KDDIと比べて,ボーダフォンが競争上不利な面があることを示唆した。

 また,ボーダフォンが従来から進めていたMVNO(仮想移動通信事業者)戦略については,「新たな顧客獲得手段の一つ。これからも積極的に検討していきたい」(孫社長)とした。価格戦略については「まだコメントする時期にない」(同)とし,明言を避けた。

 買収は,ソフトバンクの子会社を通じて日本のボーダフォンの発行済み株式の97.7%を取得。残る2.3%はTOB(株式公開買い付け)を通して買い取る予定。ボーダフォンの株式価値は約1兆7500億円と算定し,今後1,2カ月で払い込む予定である。