鍵穴のないドアをおサイフケータイを使って「ぴっ」と開ける−−。そんな住宅が東京都中野区に登場した。
「ガーデン中野」はNTTビジネスアソシエ(以下、NTT-BA)が3月8日に発表したシステム「MoCoCa」を導入したマンション。MoCoCaは携帯電話を利用したNTTドコモのFeliCaに対応した携帯電話を玄関ドアの鍵として使い、さらに、ドアの開閉状態や不審者画像を携帯電話などへ送信するシステムだ。
住居内にある受話装置の「ホームコントローラ」で来訪者の画像を記録できる。各住戸のインターフォン部分にはホームコントローラと接続されたサーバーを設置している。各住戸に設置したのは、管理室などで集中管理をすると、そのサーバーがダウンしたときに全住戸にトラブルが起きてしまう可能性があるため。
おサイフケータイのリーダー/ライターは玄関脇にある縦長のミラー状の部分。高さ1メートルほどのミラー部には5個所リーダー/ライターを埋め込んでおり、どの部分にあるリーダー/ライターを有効にするかは入居者が決められる。もし鍵を忘れた場合でも解錠できるように暗証番号を入力できるボタンも備えている。
このドアはホテルのドアなどのように、ドアを閉めると鍵がかかるオートロック構造を採用している。通常は常に「閉」の状態になっており、開ける行為のみを監視する。ドアが開いたままの状態が設定時間以上続くと、警告音で知らせてくれる。警告音にも気づかず外出してしまった場合でも、警告音が鳴り終わった後にすぐに指定のアドレスにメールで知らせてくれる。
ドア横には人感センサーと監視カメラを備える。ドア前に一定時間滞在している人間を感知し撮影。これらの画像はホームコントローラ内部のメモリーに保存される。画像は100枚以上保存が可能で、ホームコントーラには来訪者を撮影するボタンも備える。これらの画像は指定のアドレス宛てにメールで送信することもできる。ホームコントーラは「PDAを埋め込んだようなもの。今後はIPフォンにしたり、USBのインタフェースを付けたりと様々な機能追加が可能になっている」(NTT-BAの事業推進部門 事業戦略担当 吉岡康浩氏)という。