官公庁や大手企業でファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」による情報漏洩事故が多発する中で、Winny対策ソリューションがセキュリティベンダーから相次いで発売されている。

 1つは、企業内でのWinny使用を防止する製品だ。トレンドマイクロは、企業向けウイルス対策ソフト「ウイルスバスター コーポレートエディション」の最新版で、企業内のパソコンでのWinny使用を防止する「アドバンス検索ツール」を新たに追加する。社内のクライアントパソコンにWinnyがインストールされていないかをチェックし、発見された場合には削除する。管理者側でWinny検出結果の履歴を把握し、複数にわたってインストールしたユーザーに対して警告を発することもできる。

 アドバンス検索ツールを標準搭載するアドバンス版の価格は、100ユーザーの場合に1ライセンス当たり8800円で、通常版のユーザーは1ライセンス当たり1700円でアドバンス版にアップグレードできる。4月5日から発売するが、アドバンス版のユーザーは3月20日からアドバンス検索ツールダウンロードして利用できる。

 ハンモック(東京都新宿区、若山正美社長)は、「Asset View HYPER for Winny対策ソリューション」を3月16日から販売開始した。クライアントパソコンにインストールされたWinnyの検出・削除に加えて、Winnyがどのパソコンで稼動しているのかを監視したり、稼動するWinnyを強制終了したりできる機能もある。価格は、50~99クライアントで5850円から。

 従業員の私用パソコンのWinny対策を提案する製品も登場している。Klabセキュリティ(東京都港区、利根川治社長)は、個人情報検索ツール「P-Pointer」を官公庁や自治体向けに「ガバメントライセンス ホームユース付」の提供を3月15日から開始した。庁内のクライアントパソコン用のライセンスと同数のライセンスを個人用パソコンのライセンスとして無償提供する。

 職員に自宅のパソコンに個人情報などが残っていないかどうかをP-Pointerでチェックしてもらい、万が一家族がWinnyをインストールした場合にも情報漏洩を未然に防止できることを提案する。職員に検索結果レポートの提出を義務付けることで、私用パソコンからの個人情報の削除を促す効果もアピールする。価格は100ユーザー(合計200ユーザー)で税込52万5000円。4月中に企業向けのライセンス体系の提供も開始する予定だ。

 こうしたWinny対策ソリューションに対する引き合いは強く「通常では予算が取れなくても、別予算で購入を検討するケースも目立つ」と、トレンドマイクロの岡野健人エンタープライズマーケティング課プロダクトマーケティングマネージャーは話す。