東京女子大学の渡辺隆行教授が主催するユーザーエージェント調査プロジェクトは3月15日、視覚障害者がWebサイトを利用する際に使うソフトの機能を調査した結果を発表した。それによると、ソフトによってはアクセシビリティに配慮したWebページやPDFへの対応が不十分であることが分かった。

 調査をしたソフトは「IBM ホームページ・リーダー 3.02」及び「同 3.04」、「PC-Talker XP Version 1.14」、「95 Reader Version 6.0」、「JAWS for Windows Professional Version 6.2 日本語版」の4種類。

 ソフトによっては、表のデータを正確に読み上げることができなかったり、ページ内のリンクへジャンプできないなどの問題があった。また、すべてのソフトに共通して言えるのが動画やアニメーションに対するアクセシビリティへの対応があまり進んでいないこと。例えば、アニメーションなどに付加されている字幕や音声情報を、正しく処理できなかったという。ただし、基本的な読み上げ機能に関しては、すべてのソフトでほぼ問題はなかった。

 PDFの読み上げに関してはかなりの制約があった。例えば、本文と表がある文章でも上から順に読み上げることしかできなかったという。

 調査は、Web技術の標準化を進めている国際コンソーシアム「W3C (World Wide Consortium)」のUAAG(User Agent Accessibility Guidelines)ワーキンググループが作成したUAAG 1.0テスト用の400余りのファイルなどを使って行われた。詳しい調査結果は「日本の視覚障害者用ウェブ利用ソフトの機能調査」で見ることができる。