在京民放5社と電通・博報堂ら広告代理店4社は3月15日,動画のネット配信を手がける新事業会社「プレゼントキャスト」を4月3日を目途に設立すると発表した。サービス開始は2006年秋の予定。
 
 新事業会社設立に合意したのは,日本テレビ放送網,東京放送,フジテレビジョン,テレビ朝日,テレビ東京の在京民放5局と,電通,博報堂DYメディアパートナーズ,アサツー ディ・ケイ,東急エージェンシーの大手広告代理店4社の計9社。2005年11月に電通と民放5社がネット配信事業会社の設立を検討開始すると発表したが(関連記事),ここに広告代理店3社が加わった。

 株主構成は,電通が18.75%で筆頭株主で民放5社がいずれも12.50%を出資する。次いで,博報堂DYメディアパートナーズが8.75%,アサツー ディ・ケイが6.25%,東急エージェンシーが3.75%である。代表取締役社長には,電通のメディア・コンテンツ第2本部テレビ局局次長の石川豊氏が就任する。

 新事業会社では,放送局が手がける動画コンテンツの検索ポータル・サービスを提供する。検索ポータルは,会員登録をすれば無料で利用できる。このほか,動画コンテンツや動画広告の配信事業も展開する計画。日本テレビ放送網の「第2日本テレビ」など民放各局が独自で展開するサイトとの住み分けは,「具体的には決まっていないが,新会社を放送局が集まって作る以上,競合にはなりえない」(電通)という。

 コンテンツの料金は,無料と有料が混在した状態でスタートする可能性が高い。ポータルや各社サイトの無料コンテンツと,既に有料で提供されているコンテンツが扱われることになりそうだからだ。サービス開始当初から「完全無料の広告モデル」とはいかなそうだが,「大手広告代理店が関与するからには,広告モデルの無料の動画配信サービスの可能性を極めたい」(電通)という。

 民放各局の動画の入り口となるポータルが動き出すことで,民放各局が抱える膨大なアーカイブやネット向けの新コンテンツが,今まで以上にネットに流れ出てくると予想される。自らコンテンツ提供用のサイトを持っていなかった放送局は,新たにコンテンツ配信経路を手に入れられる。業界内の競争は激化の一方だが,ユーザーにとっては,放送局の魅力的なコンテンツに触れる機会が増える大きなきっかけになりそうだ。