「Linuxなどオープンソース・ソフト(OSS)の利用が業務システムに進んでおり、ユーザー企業から“構築のためのもっと詳細な情報がほしい”という声が多く上がっている」。OSSの普及を推進する非営利団体であるオープン・ソース・デベロップメント・ラボ(OSDL)日本支社の泉澤仁ストラテジック・プランニング シニア・マネージャはこう語る。
これを受けてOSDLは、OSSで業務システムを構築するためにユーザー企業が必要な情報をまとめたサイトを3月13日に開設した。サイトの開設にあたって、OSDLのメンバーである各社が協力。参加メンバーは、インテル、NECソフト、NTTコムウェア、オープンソース・ジャパン、シーイーシー、テンアートニ、東芝ソリューション、日本IBM、日本ヒューレット・パッカード、日立製作所、富士通、富士通ラーニングメディア、三菱電機、の13社である。
掲載した内容は、(1)要求仕様書(RFP)の書き方、(2)OSSを使った業務システムの事例、(3)OSSでシステムを構築・運用するための人員育成の方法、など。
(1)のRFPの書き方では、OSS特有の課題である保守条件や知的財産権、ライセンスの問題についての情報を提供する。
(2)の事例については、事例データベースを作成。50件以上の事例を掲載し、業種や利用しているソフトを条件にして検索できるようにしている。ただし、事例はすでに各社のホームページに掲載している内容である。
(3)の人材育成のための情報には、3年目のWindows技術者を想定読者としたOSSの解説や、教育コースを提供するベンダーの紹介を掲載する。
このほか、OSSの動作環境としてベンダー各社が公開しているサイトへのリンクをまとめたページや、OSSを用いたシステム構築サービスを提供しているベンダーの紹介ページを用意している。
OSDLは今後も継続して同サイトの内容を充実させる計画だ。「ユーザー企業やシステム・インテグレータからのフィードバックを受けて来年度の活動を決める」(泉澤シニア・マネージャ)。現状ほとんどが各社のサイトで紹介済みの情報であり、まだ内容が不十分といえるが、今後は構築手法や事例などより詳細な情報が提供されることが期待される。