3月9日からドイツ・ハノーバー市で開催中の世界最大のIT展示会「CeBIT 2006」には,数多くの高速電力線通信(PLC)製品が出品されている。日本では高速電力線通信の利用は認められていないため,多くの製品が実際に稼働するのを見られるのは海外の展示会ならではだ。
出品されているPLC製品の形状はさまざま。最もよく目にするのは,イーサネットとPLCとの橋渡しをするアダプタ型のブリッジ製品。インターネットにつながるイーサネット・ケーブルをアダプタにつなぎ,コンセントに差し込む。後は,好きな場所のコンセントに対向のアダプタを差し込み,イーサネット・ケーブルでパソコンにつなげば,インターネット・アクセスが簡単に実現する。松下電器産業や米ギガファスト,台湾のACCEXや独デボロなど多くのブースに展示されている(写真1)。
また,ADSLモデムや無線LANのアクセス・ポイント,ケーブル・モデムやVoIP(voice over IP)アダプタといった製品にPLC機能を内蔵したものも多い。例えば,米コリネックスは,ADSLの高速・長距離対応規格であるADSL2のモデムに,PLC機能と無線LAN機能を内蔵した新製品をCeBITで初公開している(写真2)。
このほか,PLCを内蔵したACアダプタも登場。例えばノート・パソコンを利用する際に,PLC内蔵のACアダプタをコンセント・プラグに挿すだけで,電源供給とネットワーク配線の両方をやってくれるというわけだ。デルタ電子らが出品している(写真3)。
将来を予感させられる製品もあった。台湾のST&Tやフランスのスピッドコムらは,DVDプレーヤーにPLCを内蔵した製品を展示(写真4)。アンプとスピーカーの間をPLCでつなぐPLC内蔵オーディオ・システムなども登場した。
こうした製品の通信速度は,採用しているチップの種類によって複数のバージョンを用意しているメーカーが多い。上り下りの合計で,14Mビット/秒,85Mビット/秒や200Mビット/秒前後に大別できる。
日本メーカーはもちろん,多くの海外メーカーが今夏にも規制緩和される日本のマーケットに高い関心を持っていると語る。総務省で策定している日本国内利用時の規制値は欧米に比べて厳しいため,技術的なハードルにぶつかるメーカーもありそうだが,数多くのPLC製品の展示には規制緩和後の利用形態を大いに期待させられた。