上場企業に対する内部統制の義務付けは、2008年4月1日以降に始まる事業年度から適用される見通しとなった。政府が3月10日に閣議決定した「金融商品取引法案」(通称、投資サービス法案)に盛り込んだもので、当初予想から1年の先送りとなる。導入を迫られる上場企業には、今後約2年の準備期間が与えられることになった。

 金融庁が進める内部統制に関する制度は「日本版SOX法」とも呼ばれ、2005年12月には報告書が公表されている。今回、投資家保護を目的に証券取引法などを改正・再編した「金融商品取引法案」に、企業の情報開示に規律を与える手段として盛り込まれた。原則、すべての上場企業に内部統制システムを導入させた上で、毎年の決算ごとに経営者による「評価」と公認会計士による「監査」を、明確に義務付けた点が特徴だ。

 3月決算の場合、経営者の評価や会計士の監査結果は、2009年3月期から公表することになる。このほかに、四半期決算ごとに、有価証券報告書の適正さについて経営者の「確認」を義務付ける「確認書制度」も導入した。

 新法は、今国会で原案通りに可決されれば2006年に施行される。このタイミングから、内部統制の制度化は「早ければ2007年4月以降に始まる事業年度から」といわれてきた。しかし、経済団体連合会が導入時期の先送りを要望していたほか、「日本版SOX法」の基準案を策定した部会の八田進二部会長(青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授)も、「導入は早くて2009年」との見方を示していた。