写真1 ヤマハが開発した電話会議装置「プロジェクトフォン」
写真1 ヤマハが開発した電話会議装置「プロジェクトフォン」
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 ヤマハは3月10日,IP電話による電話会議システム市場への参入を発表した。電話会議装置「プロジェクトフォン」2機種を4月上旬から順次投入する(写真1)。32個のマイクと16個のスピーカを駆使して,音声以外のノイズを削減。高音質・低価格を武器に,初年度1万台の販売を目指す。

 プロジェクトフォンは,机上に設置するIP電話会議装置。最大4拠点までの多地点接続ができる。IP電話の音声プロトコル「G.711」およびG.711を拡張した独自コーデックを搭載。独自コーデック使用時には,300~7000Hzの広帯域音声を扱える。

 高音質実現するための工夫は大きく二つある。まず,長方形のきょう体の長辺に,左16個,右16個の計32個の指向性マイクを配置。発声がマイクに届く時間の差を解析して発話者の位置を特定し,その他の場所で発生する雑音を正確に排除できるようにした。次に,底面に設置した12個のスピーカによって,左・中央・右の3点から音声が聞こえるようにする音場再現機構を実現。例えば東京,大阪,札幌の3拠点で会話する場合に,大阪を左,札幌を右といった設定を東京のプロジェクトフォンに施すことで,どの拠点から発声しているのかが分かりやすくなる。

 販売は,同社のネットワーク機器「RT」シリーズの販路を利用する。価格はイーサネットに接続する「PJP-100H」が29万4000円。パソコンのUSBポートに接続する「PJP-100UH」が25万2000円。

 また5月には,アナログ電話向けのVoIP(voice over IP)アダプタ「TLA-01」を追加。今秋には低価格な個人向け装置をラインナップに加える。個人向け装置の用途としては,発話者のみの音声を集音できるメリットを生かし,「社長とその秘書が離れた部屋にいる場面などで,目の前にいるときと同じように声をかけられる『空間の共有』」(サウンドネットワーク事業部の田丸卓也執行役員)を想定する。