写真右から,つぼ八 総務部システム管理課課長代理の秋山龍一氏,エスビックス 東京開発部繊維カンパニー担当マネージャーの山田耕司氏,エスビックス東京開発部の古大内孝高氏
写真右から,つぼ八 総務部システム管理課課長代理の秋山龍一氏,エスビックス 東京開発部繊維カンパニー担当マネージャーの山田耕司氏,エスビックス東京開発部の古大内孝高氏
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C++で画面を作りこんだHTTPクライアント・アプリケーション。全体メニュー
C++で画面を作りこんだHTTPクライアント・アプリケーション。全体メニュー
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店舗から食材を発注するアプリケーション画面
店舗から食材を発注するアプリケーション画面
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 居酒屋チェーン店舗を運営するつぼ八は,全国500店舗と物流センター7拠点をつなぐ物流システムを2006年2月1日に刷新した。オフコンを用いた従来の専用システムを,パソコン上で動作するWebベースのシステムへとリプレースした。主な狙いは,店舗からの受注を予測する精度を高め,仕入先への発注を最適化すること。開発会社はエスビックスで,開発期間は6カ月。

 リプレース対象となったオフコンはNEC製の「システム7200」である。COBOLでアプリケーションを作り込んでいた。これを,Windows Server 2003機2台へと置き換えた。1台はデータベース・サーバー機で,Oracle Database Server 10gを動作させる。もう1台はWebサーバー機で,OSに付属するIIS(Internet Information Services)を動作させる。

 業務の流れは以下の通り。店舗が午前4時30分にPOS処理を締め,食材など必要な物資を物流センターに発注。物流センターは仕入先に発注し,物流センターの倉庫から店舗へ荷物を配送する。つぼ八の場合,冷凍食品や雑貨は物流センターの倉庫に保管しておき,発注間隔は週1回~月1回が中心。一方,例えば野菜は毎日仕入先へ発注し,倉庫には一切置かない。物流のコストを減らすには,店舗からの発注内容をあらかじめ予測して,倉庫に置いておく在庫の量や廃棄物の量を減らす必要がある。

 倉庫に在庫を置かない野菜は店舗から受注した分をそのまま仕入先に発注すればよいが,倉庫に保管する必要のあるものは,店舗の売上と店舗からの受注をあらかじめ予測して仕入先への発注量を決める必要がある。従来,つぼ八では,仕入先への発注量を決めるために必要な過去の実績データを参照する仕組みが弱かった。物流センターの発注担当者は,オフコンからその都度手動で実績データをダウンロードし,DOS/Vパソコン上で抽出データを利用し発注内容を決めていた。新システムでは,過去1週間の売上実績の平均値を取得するなど店舗からの受注量を予測しやすくしたほか,店舗からの発注データをリアルタイムに参照可能にした。

 新システムのクライアント・アプリケーションはBorland C++で開発。全体メニューのほか,発注画面など個々のアプリケーションで構成する。店舗のPOSシステムからの発注処理に利用するほか,物流センターでの受発注管理に利用する。店舗のPOSシステムには以前からWindows NT機を使用しており,POSシステム上で発注アプリケーションを動作させる仕組みである。

 クライアント・アプリケーションは一種のリッチ・クライアントとして開発した。オフコン時代の画面操作性を犠牲にしないようC++で画面を作り込みつつ,単純なWebアプリケーションとした。表計算やデータ入力支援などリッチ・クライアントとしての機能を備えるものの,WebブラウザとHTMLのFORM文をクライアントに用いた場合とまったく同じメッセージをHTTPでやり取りする。

■変更履歴
初出時,開発コストに関する記述がありましたが,物流システムの開発以外の機能開発も含んだ額面であり,事実と離れてしまうため割愛しました。4段落目に,新システムの狙いに関する記述がありましたが,追加情報を含めました。以上,お詫びして訂正します。[2006/03/14 12:20]