写真1 米ルーセント・テクノロジーズのダメリオ最高執行責任者
写真1 米ルーセント・テクノロジーズのダメリオ最高執行責任者
[画像のクリックで拡大表示]

 「通信事業者にとって,企業規模を大きくすることは非常に重要だ。AT&Tがベルサウスを買収することに驚きはない」--。

 米ルーセント・テクノロジーズの最高執行責任者のフランク・ダメリオ(Frank D'Amelio)氏は現地時間の3月8日,ドイツ・ハノーバー市で開催中のIT展示会「CeBIT 2006」で開催した会見に登場し,3月5日に明らかになった米AT&Tによる米ベルサウスの買収についてコメントした(写真1)。

 競争が激化する通信業界にとって,企業規模の大きさは購買能力などの向上を意味する。ダメリオ最高執行責任者は「今後も通信事業者の統合は進むだろう」と予見した。

 さらにダメリオ最高執行責任者は,「通信事業者の音声収入は減少傾向にあり,新たな収益源が必要だ」と発言。次世代IP網「NGN」(next generation network)の構成要素である「ブロードバンド・アクセスやVoIP,モバイルなどを強力に推進する」という戦略を強調した。特に,固定通信と移動体通信の両方を実現する統合IP網の基盤技術「IMS」(IP multimedia subsystem)に関しては,「すでに8社の顧客があり,実施中のトライアル数は77に上る」(ダメリオ最高執行責任者)ことを明らかにした。

 またダメリオ最高執行責任者は,同社が欧州の通信事業者各社と新たに結んだ7件の契約内容についても明らかにした。いずれも複数年契約で,合計金額は3億ドルを超えるという。契約は大きく4分野に分かれる。

 一つは,MPLS(multiprotocol label swivhing)やVoIP,ブロードバンド・アクセスといったNGNの構築ソリューションをドイツテレコムで法人事業を担う「T-Systems」,カザフスタンの「Kazakhstan Telecom」,ポーランドの「Telecomunikacja Polska」の3社に提供するというもの。

 もう一つは,DWDM(dense wavelength division multiplexing)装置を使ったイーサネット網の構築ソリューションを,ドイツテレコムでDSL(digital subscriber line)などを提供する「T-com」と米軍に提供する案件だ。さらに,第3世代携帯電話網の構築をロシアの「Sky Link」から受注したことや,ロシアの「MegaFon」の課金システムを構築,提供することも明らかにした。

 ダメリオ最高執行責任者は,日本市場についても言及した。「重要かつ大きなマーケットと認識している。シェア向上を狙う」と語った。