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 NTTデータとトッパン・フォームズ、日本アクセス、日野自動車は無線ICタグを使い、商品をトラックで輸送中でもリアルタイムに温度管理状況を把握することができるシステムの実証実験を3月27日から開始する。NTTデータがシステムを構築、トッパン・フォームズがICタグなどを提供、日本アクセスが物流面で協力、日野自動車がトラックの提供を担当する。

 実証実験では、厳密な温度管理が必要な生酒を蔵元からスーパーに出荷するまでの流通過程で温度を管理する。生酒の瓶には製造月や入出荷日などの個別情報が記録されたラベル型の無線ICタグを貼付。生酒の瓶を入れるダンボール箱にはトッパン・フォームズが開発した温度センサー付き無線ICタグを取り付けられ、これを「E-CRB」と呼ぶ移動式電気冷蔵庫に入れてトラック輸送される。

 温度センサー付きICタグは、測定した温度を約10メートルの範囲内で通信させることが可能だ。輸送中の生酒の温度を、このICタグからトラック内の端末に伝え、さらに第三世代携帯電話のFOMAを使ってインターネット経由で、商品情報を管理する情報センターに転送する。荷主は、インターネット経由で情報センターにアクセスすることで、リアルタイムに商品の温度管理状況を把握することができる。スーパーに出荷された後も、店舗に設置されたキオスク端末で買い物客が輸送中の温度管理履歴を確認することができる。

 生酒は、質を確保するために一定温度を保ちながら輸送しなければならず、これまでは蔵元から離れた場所に輸送することが困難だった。無線ICタグによる温度管理システムを活用し、一定温度で輸送できる距離を明確にすることによって、販売可能な地域拡大の効果が期待できる。

 NTTデータなどは、生酒以外にも厳密な温度管理が必要な商品物流にも応用したい考えだ。実証実験は4月10日までの15日間行われ、結果を踏まえてシステム実用化を検討する。