3月9日、富士通は新しい非接触型の手のひら静脈認証装置を発表した。新製品は従来の70×70mmの装置に比べ体積を4分の1まで小型化した。価格は従来の半分以下の3万~4万円で、認識に要する時間も半分に短縮。認証装置の新しいブランドを「Palm Secure」とし、手のひら静脈認証装置の普及を図る。出荷時期は4月末を予定。
手のひら静脈認証は手のひらの静脈パターンを光で読み取る生体認証技術。現在、三菱東京UFJ銀行などのATMで利用されている。既存の認証装置では手のひらをかざす部分の面積が70×70mmだったのに対し、今回は35×35mm(高さは従来と同じ)。「技術的にはさらに小型化することも可能」(富士通のユビキタスシステム事業本部バイオメトリクス認証システム部の若林晃氏)で、将来的には携帯電話やパソコンのキーボードへの組み込みも考えられるという。発表ではUSBケーブルでパソコンに接続するタイプのものや、USB端子に直接挿入するタイプが展示された。
今回の認証装置を他のベンダーが利用できるように開発キットも用意。認証装置と基本ソフトを提供し、サンプルアプリケーションのソースコードも公開する。
既存の認証装置は国内では2006年度末までに1万台を超える販売実績がある。今回の認証装置や開発キットの販売により、3年間で800億円の売り上げを目指す。このうち「海外への出荷が4分の3を占める見通し」(若林氏)だという。