「今回の買収が完了すれば、すべての業種業態にPLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)ソフトを提供できる体制が整う」。仏ダッソー・システムズのジョン・スクワイアPLMマーケット・ディベロップメント担当バイス・プレジデントはこう断言する。PLMソフト・ベンダー大手のダッソーは3月2日、競合である米メイトリックス ワンの買収計画を発表済み。

 ダッソーは「自動車や航空・宇宙業界に強く、顧客企業数は7000社」(スクワイア バイス・プレジデント)である。一方メイトリックスは、ハイテクや消費財などの業界を得意としており、850社の顧客を抱えている。「当社とメイトリックスは、顧客層に重なりがないので、合わせて約8000社の顧客を抱えることができる」(同)。

 同社は、3次元CADソフト「CATIA」や、製品データ管理ソフト「ENOVIA」、製品データを複数の部署や取引先と共有する際に利用する「SMARTEAM」を提供している。これらのラインナップに、メイトリックス製PLMソフト「MatrixOne」などを統合するのかについて、「まだ何も詳細は話せない」(スクワイア バイス・プレジデント)とする。ただし「メイトリックス製ソフトの顧客企業が、今回の買収でデメリットを被ることはない」と続ける。

 PLMは、設計図や部品表といった製品データを、企画段階から設計、生産、保守、生産中止に至る全行程で共有し、製品開発力の強化や設計作業の効率化、在庫削減を目指す取り組みのこと。モノづくりの体制強化を図るため、PLMに注目する製造業が増えている。