Web2.0は,Webの世界で今起きている動きを総称したものと考えている。したがって,様々な要素がWeb2.0に入っており,これを整理しようと議論を進めている。

 現時点でWeb2.0は,「コンシューマーが新しい道具を使っている」段階である。今後はコンシューマーが使い出した道具やその結果起こった動きが,企業間取引や企業情報システムに取り入れられていくだろう。

 ただし,新しい道具は,信頼性を要求されるミッションクリティカルなシステムに使えるまでにはなっていない。このため,Web2.0の技術がいわゆる基幹系システムに適用されるのはまだ先の話だ。しかし,企業が抱えている業務プロセスを見てみると,ミッションクリティカルなプロセスは20%に過ぎない。それ以外の80%は,何か問題を解決するために情報を検索するプロセス,他の人とコミュニケーションをとるプロセス,で占められている。

 80%のプロセスは,非定型である。その時々の状況に応じて,欲しい情報やコミュニケーションする相手が変わってくる。利用者はは情報や相談相手を変えつつ,問題を解決していく。実は,これらの過程が企業内で多くの時間を費やしている。基幹系システムの定型トランザクション処理は1秒以内など決められた時間で進んでいくが,人間がものを考えて意思決定していくプロセスは,下手をすると1週間くらいかかることもある。

 つまり80%の業務プロセスの処理時間を短縮すれば,生産性を上げられる。そこにWeb2.0を活用できる余地がある。Web2.0の技術をつかって,企業内の利用者が利用状況に合わせ,必要な情報やサービスをダイナミックに呼び出せす,といったアプローチが考えられる。まずは,企業内ポータル(EIP)などから活用が進むだろう。

聞き手:玉置 亮太,小野口 哲=日経コンピュータ