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 「(日本版SOX法の)適用はどんな早くても2009年。一般には2008年3月適用と言われているが、個人的にはありえないと考えている」。こう語るのは八田進二 青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授だ。八田教授は、いわゆる「日本版SOX法」の基準案を策定した金融庁企業会計審議会委員・内部統制部会の部会長を務める。

 八田教授は3月3日、東京で開催されたイベント「Oracle Open World」の中で、日本版SOX法の概要について講演した(写真)。「金融庁では、制度が適用されるまでに法律ができて3年は必要と言っている。この春の国会で通ったとしても、2008年はない」という。

 さらに、「米国のSOX法には多くの問題があり、その問題は表面化しつつある。米国の問題点を改良して基準案を作った」として、変更点を解説。例えば、「コストがかかりすぎるダイレクトレポーティングを採用していない」。ダイレクトレポーティングとは社内監査で行った内部統制の有効性評価を再度、監査人が実施することである。

 日本の実情に合わせるために、内部統制の定義に「資産の保全」という目的を追加した。さらに、構成要素として「ITへの対応」を追加したことも日本独自の取り組みだ。だが、「内部統制には必ずITが必要になる。IT業界には仕事がくるのだから、そんなに急ぐな」とIT業界の過熱ぶりに苦言を呈した。