日本郵政公社が2007年の分社・民営化に向けて構築する次世代IPネットワークの概要が明らかになった。構築するのは「第4次郵政総合情報通信ネットワーク(PNET:Postal advanced NETwork system)」。現在の第3次PNETから全面的に刷新する。郵便事業,郵便貯金,簡易保険,郵便局で計30万人もの職員,そして各事業の顧客が利用する巨大なネットワークとなる。

 郵政公社は日本全国にある郵便局や計算センターなど,すべての拠点を全国規模のIP回線サービスに接続する。共用のIPネットワークに、パケットを暗号化して仮想的なプライベート・ネットワークを作り出す「IP-VPN」を使う。すべての拠点をIP-VPNの全国基幹網に対してフラットに接続する。IP-VPNは異なる通信事業者の2サービスを全国で契約し,ネットワークの障害に備える。

 現在大企業がネットワークを構築する際,IP-VPNもしくは社内LANと同様の技術で伝送する「広域イーサネット」を採用するケースがほとんど。郵政公社は全国の隅々まで約2万4600カ所もの郵便局の拠点を持つため,サービス利用可能なエリアが広いIP-VPNを選んだ。地域や用途によっては広域イーサネットの利用も検討中だ。

 ネットワークの構築作業は野村総合研究所(NRI)に委託し,2009年までに完了させる。実際の構築は2007年4月以降となる見通し。NRIへの発注額は598億円。この費用にはネットワークの設計・構築や機器だけでなく,セキュリティ対策の設計や機器類も含まれる。IP電話など上位層のサービスは含まれていない。