コンピュータ・ウイルスや不正アクセスなどの届け出先機関である情報処理推進機構(IPA)は3月3日,2月中に寄せられた届け出や相談の件数を集計して公表した。それによると,「ワンクリック不正請求(ワンクリック詐欺)」に関する相談件数は168件。2005年10月以降,IPAへには毎月100件を超える相談が寄せられていて,依然“高水準”である(関連記事)。調べてみると,相談を寄せたユーザーのパソコンの9割には,スパイウエアなどの悪質なプログラムが埋め込まれていたという。そのほか,ウイルスや不正アクセスに関する集計結果も公表した。

 ワンクリック不正請求とは,Webページにアクセスしただけ,あるいはWebページ中の画像をクリックしただけで料金を請求する詐欺のこと。(1)Web画面上で「登録ありがとうございます。料金は××円です」などと表示するケースと,(2)悪質なプログラムを埋め込まれて,数分ごとにデスクトップ上に料金請求の画面が表示されるケースに分けられる。

 IPAに相談を寄せたユーザーのほとんどは,後者のケースだと考えられる。そのような請求は相手にしないことが一番(心配な場合にはIPAなどに相談する)。根本的な対策は,「ウイルス対策ソフトやスパイウエア対策ソフトを利用すること」や「信頼できないサイトへアクセスしないこと」。また,ユーザーに何かをたずねるダイアログ(ウインドウ)が表示された場合には,「OK」や「実行する」を安易にクリックしないことが重要である(関連記事)。

 同日IPAでは,2月のコンピュータ・ウイルス届け出状況も発表した。それによると,ウイルスを発見したという届け出は4324件(1月は4499件),このうち実害があったのは5件(1月は6件)だった。

 届け出件数が最も多かったウイルスは「Netsky」で1004件。次いで,「Mytob」が526件,「Bagle」が372件。

 2月には,Mac OS Xに感染する「Inqtana」が報告された。件数はわずか2件で,IPAでは「感染が拡大しているわけではない」としながらも,Windows以外のOSでもウイルス対策を実施する必要があると呼びかけている。

 2月中のコンピュータ不正アクセスに関する届け出および相談状況も公表した。それによると,届け出および相談件数は計68件(1月は93件)。そのうち,実害があったのは39件(1月は36件)。SSHサーバーを攻撃されて不正侵入されたケースが多かったという(関連記事)。

◎参考資料
コンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況[2月分]について
コンピュータウイルスの届出状況について[詳細](PDFファイル)
コンピュータ不正アクセスの届出状況について[詳細](PDFファイル)