日本郵政公社は3月2日,2006年初頭から次世代ネットワークの構築を始めたことを明らかにした。このネットワークはIPベースで,全国約2万4600カ所の郵便局をフラットに接続する。構築作業は野村総合研究所(NRI)に委託し,2009年までに完了させる。NRIへの発注額は598億円。

 郵政公社が刷新するネットワークは郵便局と計算センターの間を結んでいる「郵政総合情報通信ネットワーク」で「PNET(Postal advanced NETwork system)」と呼ばれている。2007年10月の分社・民営化によって発足する郵便事業,郵便貯金,簡易保険,郵便局の4社の基盤ネットワークとなる。

 新たに構築するネットワークは,通信事業者の広域イーサネット・サービスを利用。社内LANと同様の技術で,郵便局など全国の拠点をフラットに収容する。都市銀行など大手金融機関が本支店や店舗,ATM(現金自動預け払い機)を同サービスを基盤として接続するケースが増えてきている。例えば,東京三菱UFJ銀行や日興コーディアル証券は広域イーサネット・サービスを利用している。

 郵政公社は2002年に「第3次郵政総合情報通信ネットワーク」を構築済み。この時は第2次の従来型のパケット・ネットワークと第3次で新たに構築したIPネットワークのハイブリッドだった。今回の刷新はこれに次ぐ第4次にあたる。598億円の投資には,IP電話など上位レイヤーのコミュニケーション用システムは含まれていない模様。