横河電機の内田勲社長(左)と富士通の伊東千秋専務(右)
横河電機の内田勲社長(左)と富士通の伊東千秋専務(右)
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 富士通と横河電機は3月1日,40Gビット/秒以上の高速光伝送システムを共同で開発すると発表した。横河電機が開発した光伝送部品を,富士通の光伝送装置に実装していく。富士通は,日本のみならず北米でもブロードバンドの普及が始まったことへ対応できるよう,次世代の高速光伝送システムをいち早く市場に投入できる開発体制を整えた。

 横河電機が開発を進めている光伝送部品の特徴は,化合物半導体を応用していること。化合物半導体は,CPUやメモリー用途などで広く普及しているシリコン半導体に比べると高速な信号処理が可能,光を発したり反応するなど高速な光伝送部品としての特性が高い。しかし,「こうしたデバイスの開発には多額の投資が必要。しかも,富士通では現在シリコン半導体しか手がけていない」(伊東千秋専務)。光伝送システムの競争力を強化したい富士通にとっては,化合物半導体を長期にわたって安定供給できる部品メーカーとの提携が不可欠だった。

 一方,横河電機は「化合物半導体を応用した光伝送部品向け事業を,計測機器事業に注ぐ柱に育てたい」(内田勲社長)との思惑があった。同事業の売り上げ規模は,外販のみで現在10億円程度。「これを,5年後の2010年には1000億円以上にする」(内田社長)。化合物半導体事業を拡大するため,横河電機は250億円をかけて神奈川県相模原市に新たな開発,生産拠点の建設を進めている。

 共同開発の最初の成果は,一般企業向けには10Gビット/秒に次ぐ高速インタフェースを実装した製品,通信事業者向けには40Gビット/秒のWDM(波長多重)装置や長距離伝送装置になる見込み。横河電機は既に,40Gビット/秒の光伝送部品を開発済み。また,光信号を電気信号に変化させることなく経路交換できるシステム「光パケット・スイッチ」の試作にも成功している。