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 日本オラクルは3月1日、同社の保守・サポートサービス「ライフタイム・サポート・ポリシー」を同社の全製品に適用することを発表した。これによりユーザー企業は、同社製品に関する無期限の保守・サポートを受けられるようになる。従来はデータベースとERP(統合基幹業務システム)ソフト製品以外は、だいたい4年~6年でサポートが終了していた。

 具体的なサポート契約は「Premier Support」「Extended Support」「Sustaining Suppot」の3種類になる。Premier Supportは製品出荷開始から5年間で、技術サポートや新規パッチ(修正プログラム)、法制度への対応、無償でバージョンアップできる権利などを提供する。Extended SupportはPremier Supportの後さらに3年間、Premier Supportとほぼ同等の保守・サポートを提供する。

 Sustaining Supportは、Extended Supportが終わる9年目以降も、技術情報や無償でのバージョンアップ権などを提供する。Sustainingの場合、オラクルに新規パッチを実費で作成してもらうことも可能だ。データベース製品には6年目以降も保守延長サービス「EMS(Extended Maintenance Support)」を提供していたが、「保守料金が高いという不満があった」(保科実取締役常務執行役員・サポートサービス本部長)。

 そのため、Extended SupportおよびSustaining SuppotはEMSより料金を下げた。EMSの場合、6年目以降は保守料金が毎年、ソフトライセンスの28.6%ずつかかっていた。新制度では6年目は24.2%、7年目8年目は26.4%、9年目以降が22%に下げる。ちなみに、1~5年目までの保守料金は22%でこれまでと変わらない。

 ライフタイム・サポート・ポリシーの内容は全製品共通である。そのため、米オラクルのユルゲン・ロトラー エグゼクティブ・バイスプレジデント(写真)は、「一貫したサポートポリシーを策定することで、ユーザー企業がバージョンアップを計画的に実施できるようにした」というメリットを挙げる。従来のオラクルの保守・サポートは、サポートを終了する時期があいまいで製品ごとに期間がバラバラだった。

 オラクルは新制度が「売り上げに与える影響はわずか」(ロトラー エグゼクティブ・バイスプレジデント)と見ている。ただし、「メインフレームから乗り換えた企業、特に公共分野では9年目以降も同じ製品を使い続けるケースがある」(保科常務)という。

 同社製ERPソフトの「Oracle E-Business Suite(EBS)」だけは昨年10月から、ライフタイム・サポート・ポリシーの対象となっていた。EBSだけが先行した理由について、保科常務は「EBSは、当社がユーザ企業が直接サポートすることが多い。それ以外の製品はパートナー経由でサポートサービスを提供しているため、パートナーとの体制を整える必要があった」と語る。データベース製品の場合は、パートナー経由でサポートサービスを提供しているケースが85%にもなるという。