Web2.0が影響を及ぼす範囲は極めて大きい。IT産業のソフトウエアやサービスの開発だけではなく、企業のマーケティングから業態に至る、ビジネスそのものの変革を迫られることになる。ITの世界でも、これまでの米マイクロソフトの独占体制から、米グーグルがある領域における主導権を握るようになるなど、状況が大きく変わってきた。これら全体の地殻変動をWeb2.0という言葉で括れると思う。

 新しい時代になると、企業のWebサイトや情報システムの構築に関する発想を転換することが不可欠になる。今まではアプリケーション・ベンダーからパッケージソフトを買ったり、自社で手作りしていた。今後は、グーグルや米アマゾン・ドット・コムといったサービス・ベンダーが提供しているサービスを利用してシステムを構築する流れが進む。

 こうした無料で使えるサービスを敬遠する向きもあるようだが、もったいない話だ。シリコンバレーの頭脳が集まっている会社が提供しているサービスなのだから、その完成度は極めて高い。彼らが提供しているAPIを使って開発することで、開発スピードを大幅に向上できる。

 国内の大企業の情報システム部門にはまだ、こういった発想があまりない。その一方でベンチャー企業は、外部の有用なサービスを積極活用している。開発投資が少なくてすみ、開発スピードが速く、品質も十分だとなれば、使わない手はない。大企業も発想を転換していかないと、厳しい状況に置かれるのではないだろうか。

聞き手:玉置 亮太、小野口 哲=日経コンピュータ