Web2.0はバズワード(はやり言葉)の一つだと思う。ここ数年で、Webの利用人口が増え、ニッチな商品やサービスに対するマーケットが生まれた。同時に、ブログ、RSS、Ajaxといった、Webの魅力を高めるための技術とツールが充実してきた。これらを整理して体系化したものがWeb2.0だ。

 これまで企業情報システムというと、いわゆる基幹業務を対象とするものだった。一方、Webサイトは企業にとって、取引先やお客様とコミュニケーションするための手段の一つとして位置付けられており、多くの場合、企業情報システムと分断されていた。

 今後は、企業情報システムとWebサイトで扱うデータを一元管理する動きが進むだろう。その動きの進み具合は、業種によって違ってくる。例えば、銀行のインターネット・バンキングは基幹業務そのものである。飛行機の座席予約システム、インターネットを使った本やCDの販売といったネットビジネスも基幹業務だ。こうした業種では、企業情報システムとWebを一体にせざるを得ない。

 これに対し、製造業はそれほど統合を急ぐ必要がなかった。これらの企業において、Webは情報を発信するもの、企業情報システムは基幹業務を遂行するもの、といったように役割が明確に分けられている。多くの場合、両者はリンクしていない。

 しかし今後は変わってくるだろう。製造業で最も変わるのは、商品カタログをはじめとする商品情報だ。Webサイトで提供していく商品情報は、すでに企業情報システムの中にあり、Webページに載せるため新たに作るものではない。したがって、Webのコンテンツと企業情報システムが持つコンテンツ(エンタープライズ・コンテンツ)を一元管理したい、というニーズが高まってきている。
 
 もう一つ重要な統合対称として、顧客情報がある。これについても企業情報システムとWebの顧客情報を統合する方向にある。弊社の調査でも、「ユーザー企業のマスター統合ニーズは今後急速に高まる」という結果が出ている。

聞き手:玉置 亮太、小野口 哲=日経コンピュータ