ボーダフォンのワンセグ対応携帯電話試作機
ボーダフォンのワンセグ対応携帯電話試作機
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 ボーダフォンは4月下旬をめどに,第3世代携帯電話(3G)のハイエンド機種「Vodafone 904SH」(シャープ製)を投入する。同社は3Gサービスで出遅れ,加入者シェア競争でNTTドコモとKDDIに苦戦中。これまでは英ボーダフォン・グループの戦略にとらわれていたが,日本のユーザーを意識した高機能端末や新サービスで攻勢をかける。

 同社の太田洋専務は2月28日の記者会見で「ボーダフォンはかって,携帯電話のコミュニケーション・サービスでナンバーワンの企業だった。昨年までは若干さびついていたが,再びそこにフォーカスする」と強調。新たなコミュニケーション・サービスの第1弾として,携帯電話に内蔵したBluetooth機能を使った新サービスを発表した。Bluetoothの電波が届く範囲(約10メートル)内にいるユーザー同士がチャットしたり,対戦ゲームを楽しめるというもので,当初は904SHで利用できる。

 このサービスはJavaアプリケーション同士が,Bluetoothを使ってデータをやり取りする仕組み。携帯電話網を介さずBluetoothで直接通信するため,パケット通信料などはかからない。904SHにはあらかじめ,最大8人で文字によるチャットが可能な「ちかチャット」や対戦パズルなど,複数のJavaアプリを搭載する予定である。

 904SHのハードウエア・スペックも,NTTドコモとKDDIに対抗できる水準に高めている。具体的には2.4インチで640×480ドットの液晶ディスプレイを採用。端末の動きを感知する「モーションコントロールセンサー」や,内蔵カメラで持ち主の顔の特徴を認識して端末をロックできる「顔認証機能」,非接触ICチップ「FeliCa」なども搭載する。

 さらにボーダフォンは,開発中のサービスについても言及した。電子メールの内容と着信音やアニメーション,ランプなどが連動して送信者の感情を伝える「フィーリングメール」,ブログや掲示板などの機能を提供する「V-コミュニティ」,3Dの仮想空間でさまざまなコンテンツを提供する「V-TOWN」を紹介した。

 一方,他社が先行している携帯端末向け地上デジタル・テレビ放送「ワンセグ」についても,対抗端末を初めて公開した(写真)。本放送を4月1日に控えるワンセグ対応機種は,KDDIが一足先に商用化した。NTTドコモも近く発売する予定で,ボーダフォンも両社を追いかける。ただし発売時期,価格は未定である。