経済産業省と日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は,ITスキル標準(ITSS)の“ユーザー企業版”の骨子を固めた。4月にも発表する見通し。

 「ISSS(Information System Skill Standard)」は,ユーザー企業のIT要員に求められるスキルを体系化したもの。経済産業省の委託を受けたJUASが策定を進めている。

 ISSSはシステムの構築フェーズだけでなく,システムの計画段階や,構築後の活用・運用段階にも重点を置いてスキルを整理する。「計画,活用,管理の各フェーズは,システムの投資対効果を高めていく上で特に重要なポイントとなる」(JUASの細川泰秀専務理事)からだ。ベンダーと適正な関係を結ぶベンダー・マネジメントの観点なども盛り込む。

 経済産業省が2002年12月に策定したITSSは,主にベンダー側のIT要員を対象としている。このためスキル体系の中身はサービス提供側の視点で整理されており,比較的システム構築フェーズに軸足を置いたものになっている。「ITSSは有用なスキル体系だが,ユーザー企業のIT要員にITSSをそのまま適用するのは難しい」(JUASの細川専務理事)。

 だからといってISSSがITSSを無視しているわけではない。細川理事は「ISSSとITSSとの整合性はもちろん考慮する」と念を押す。例えばシステムの企画やプロジェクトマネジメントなど,ベンダーとユーザーで共通のスキルについては,すでに普及しつつあるITSSの定義を可能な範囲で流用する。スキル・レベルの数も,ITSSと同じ7段階にする予定。

 4月に公表するのはISSSの基本的な枠組み。4月以降,一般からのコメントを募集しながらISSSに反映させていくほか,スキルを身につけるためのカリキュラムなどを策定する。

【ISSSについては,日経コンピュータ 3月6日号にも掲載されています】