シックス・アパートは2月28日,ビジネス利用を想定したブログ・ツール「Movable Type Enterprise 日本語版」(以下,Enterprise版)を3月10日に出荷すると発表した。これまで販売してきた個人向けのMovable Typeに比べ,ブログ・システムの管理を容易にしたことが特長である。

 Enterprise版はMovable Type 3.2に以下の管理機能を加えた。(1)ディレクトリ・サービス(LDAP)との連携,(2)ブログ・データの格納先にRDBMS「Oracle Database 10g」を追加,(3)CSVファイルによる投稿者(アカウント)の一括登録。(2)は,Movable TypeではPostgreSQLやMySQLなどに対応していた。

 Enterprise版の動作環境は,Perl CGIスクリプトを実行できるWebサーバー(Perl 5.8.1以上)。価格は,ライセンスパック(1サーバー,1ユーザー)が50万円 (税別),追加ユーザーについては別途「追加ライセンスパック」が必要である。

 Enterprise版を開発した背景には,Movable Typeの企業システムでの利用が進んできたことがある。

 事業開発ディレクターの安田俊彦氏によれば,「2005年,Movable Typeの法人利用が大きく伸びた。使われ方としては,会社のホームページのブログ化,マーケティングにおける顧客とのコミュニケーション強化,社内イントラへのブログ適用,などが挙げられる」。なかでも,経営陣から社員への発信,社員が社内に発信,といった社内イントラのニーズが高いという。そうしたビジネスブログから出てきた要望を取り入れ,ブログの作成や更新,ユーザー・アカウント管理などを容易にしたのがEnterprise版の位置づけである。

 企業システムにブログを適用するメリットとして代表取締役の関信浩氏は,「メールやグループウエアなどでは,非定型でアドホックな情報が集めづらい。当初は使う目的が分からないアイディアでも,ブログで共有してディスカッションすることで,価値が引き出せる」と説明する。カシオ計算機やファーストリテイリングなどがMovable Typeを使い,既にビジネスブログを実践しているという。