住友電気工業は今春,工場の生産管理システムをJavaベースのWebアプリケーションに刷新する。インフラ面での大きな特徴は,オープンソース・ソフトを全面的に採用したこと。サーバーOSにLinux,Webアプリケーション・サーバー用ソフトとしてはTomcat,リレーショナル・データベース用ソフトにPostgreSQLを採用。さらにWebアプリケーションを利用する際のブラウザとしてFirefoxを使う。昨年秋から開発を始めており,特定の工場を対象に今年春の稼働を目指す。

 住友電工では1999年以降,新規システムはすべて,Javaを使ったWebアプリケーションに統一してきた。サーバーはLinuxを採用していたが,今回の生産管理システムの開発でデータベースをオープンソース・ソフトのPostgreSQLにする。これまで同社では,業務システムの開発に商用データベースを採用してきた。

 PostgreSQLの採用に踏み切ったのは,同社の情報システム部が昨年秋,PostgreSQLを業務システムで利用できるかどうかを検証したところ,機能面/性能面ともに商用のものと遜色(そんしょく)ないと判断したため。今後,特に支障をきたさなければ,今回の生産管理システムだけでなく,業務システムの開発に広くPostgreSQLを採用していく。

 同社では過去にも,社内のポータル・システムでPostgreSQLを採用したことがあったが,基幹業務システムに本格適用するのは今回が初めて。「オープンソース・ソフトの技術進歩は早い。その最新技術を手軽に導入できるし,ITコストも抑えられる」と,同社のシステム子会社,住友電工情報システムの岩佐洋司社長は話す。

 岩佐氏は社長就任前,住友電気工業の情報システム部長として,Linuxの導入やJavaの採用を推進してきた。「公開されているオープンソース・ソフトはさまざまある。だが検証してみて利用できる,枯れたものだけを選んで使っていけばよい」と話す。

 そのためには,オープンソース・ソフトの実用性を検証/評価する必要がある。岩佐氏は「オープンソース・ソフトを含め技術的な評価をするために,ユーザー企業は,システム部門の中に,技術を評価するための部署を持ち,経営に役立つ業務システムを効率よく提供できるような体制を整えるべきだ」と主張する。住友電工の情報システム部では,十数人のスタッフがシステム/ネットワーク技術を評価している。