日本ヒューレット・パッカード(HP)は2月23日、シンクライアント「HP Compaq t5720 Thin Client」を発表、即日出荷を開始した。AMD社の組み込み用途向けx86互換プロセサ「Geode NX 1500」をCPUに採用し、旧製品よりも高速化かつ低消費電力化を実現した。DVD画像を再生しても余裕がある性能である。価格は8万5050円。

 シンクライアントはデータを個々のクライアントで管理しないため、データが流出する危険性を抑えられると関心が高まっている。またサーバーでデータやアプリケーションを一元管理できるため、管理が容易になるメリットがある。運用管理やコンプライアンス面で有利なことから「まだパソコンの数%程度しか占めていないが、2006年末には10%をシンクライアントが占めるようになる」(パーソナルシステムズ事業統括 デスクトップビジネス本部の平松進也本部長)。

 t5720はマイクロソフトの「Windows Terminal Service」やシトリックス・システムズの「Citrix Presentation Server」といったサーバーで複数のクライアントを管理する「サーバー・ベース・コンピューティング」などの端末や、ブレードPCの端末として利用するもの。OSにはWindows XP Embeddedを採用。Microsoft Remote Desktop Protocol 5.2やCitrix Independent Client Architecture 9.0などを標準で備える。OSとアプリケーションはフラッシュROMに格納している。またUSBでフラッシュ・メモリーなどのストレージ機器を使えないようにする機能も備えている。

 ユニークな機能としては、VESA準拠のマウント機構を標準装備する。例えば壁にディスプレイを設置する際に、壁とディスプレイの間にt5720を置くといった利用が可能である。