米レノボ ノートブック・ビジネスユニット マーケティング担当のマーク・ゴーディン 副社長
米レノボ ノートブック・ビジネスユニット マーケティング担当のマーク・ゴーディン 副社長
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 2005年5月に日本IBMのパソコン事業を引き継いで始動したレノボ・ジャパン。同社は品質や堅牢さを重視した「Think」シリーズを継続して販売している。この「Think」シリーズに加え、既に海外で発売している「レノボ」ブランドの製品を国内でも投入する予定だという。ノート事業を統括している米レノボのノート販売担当マーク・ゴーディン副社長に今後の展望を聞いた。

■Thinkシリーズ以外の製品を国内で投入する計画は

 新しいレノボブランドの計画があるのは間違いない。時期は、まだ明らかにはできないが、ごく近い将来に投入する。レノボ製品を中小規模の企業に浸透させる大きな役割を担う製品だ。既にThinkシリーズは大規模な企業では支持を得ている。中小規模の企業に向けた販売を強化することで、より強いメーカーとなることを目指す。

■Thinkシリーズとは価格で差異化をするのか。

 そうではない。ターゲットが異なれば、製品の仕様に対する要求も異なる。例えば、ワイド(横長)液晶を搭載するThinkPad Zシリーズは、中小規模の企業において人気があった。実現するかは分からないが、ユーザーの要望にあわせて、ワイド画面だけでなく、ThinkPadにはないマルチメディア機能、特別なソフトウエアなどを搭載するかもしれない。ただ、個人市場を狙うつもりはない。テレビチューナーや大画面ディスプレイ、カメラを搭載するような製品にはならない。

 レノボは革新性、品質、デザイン、サービス、サポートなどを顧客に強く訴えていく。他社との競争もあるため、市場に合わせた価格をつけるが、価格だけを強調するつもりはない。特にサポートは中小大規模の法人向け顧客にとって重要だ。大規模な企業は自前のシステム管理部門を持っているが、中小企業はサポートをメーカーに頼ることが多い。レノボはIBMのサービス・サポート部門と協力関係を持っており、これは大きな強みだ。

■新ブランドはどのような方針で開発していくか。

 先日発売した新製品の全世界広告キャンペーンでは、レノボが目指す革新性、品質、デザイン、サービス・サポートとThinkPadの品質や堅牢性を強く訴えた。今後の新ブランドでも、同じ方針を貫く。ThinkPadの研究・開発を統括してきた内藤在正取締役副社長の元で、ThinkPadの開発方針は今後の製品でも引き継いでいく。

 レノボは中国では強いブランド力を持っているが、これを世界中に広げていく。「Think」シリーズではIBMロゴを5年間使用できるという契約があるが、レノボブランドが浸透すれば、それ以前にロゴを外すという可能性もある。

■2月中旬に投入した新製品の反応はどうか。

 良い感触を持っている。新製品の「X60」は、従来モデルの「X40」と比べて、発売初日の販売台数が2倍近くに達した。小型軽量のX60は、特に日本の顧客のニーズに向けて開発した製品だ。小型軽量で品質の高い製品という目標を掲げ、日本の開発陣が技術を駆使して設計した。

 その一方で日本ではハードディスク、光学ドライブ、フロッピーディスクドライブを搭載した、いわゆる3スピンドル製品への要求も多い。現在でも35~40%を3スピンドル製品が占める。海外市場では、フロッピードライブ付きの製品はほとんどない。一方では軽量小型、もう一方で3スピンドルと、日本市場は両極端だ。

■Windows Vistaが年内に登場するが、今後の市場動向をどう見るか。

 過去の経緯をみると、大規模な企業の顧客は新しいシステムへの切り替えは慎重になりがちだ。確かに、Vistaの登場は業界にとっては大きな動きではあるが、そのインパクトを受けるのは主に個人向け市場で、企業向け製品の影響は限定されるだろう。