画面:企業における「Averill」搭載パソコンの機能活用例。パソコン内の管理用パーティションからユーザーのOSにアクセスし,ネットワークの利用を制限したり(画面では通信状態が「Time out」と表示されている),修整パッチを適用できる。
画面:企業における「Averill」搭載パソコンの機能活用例。パソコン内の管理用パーティションからユーザーのOSにアクセスし,ネットワークの利用を制限したり(画面では通信状態が「Time out」と表示されている),修整パッチを適用できる。
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 インテルは2月21日,今年後半にも市場に投入するプラットフォーム技術「Averill(アベリル,開発コード名)」の稼働デモを見せた。同日開かれたセミナー「2006年のクライアント像,リッチ回帰へ」でのことである。国内では初公開。

 Averillはインテルのデュアルコア・プロセッサ「Core Duo」やチップセット,ファームウエアなどを含めた,企業向けパソコンの基盤技術の総称。パソコンを管理する「アクティブ・マネジメント・テクノロジ(AMT)」,ハードを仮想的に扱える「バーチャライゼーション・テクノロジ(VT)」などを備える。

 インテルの阿部剛士マーケティング本部長は,「企業はAverillを実装したパソコンを導入することで,快適で管理しやすいクライアント環境を構築できる」と語る。セミナーでは企業システムにおけるAverill搭載パソコンの利用シーンを「エンベディッドIT」と称して,そのメリットを打ち出した。

 Averillの仮想化技術を使うと,パソコンの内部を,エンドユーザーが管理できる「ユーザー・パーティション」と,システム部門が管理する「サービス・パーティション」に分割できる。サービス・パーティションで,セキュリティや運用管理のソフトウエアを稼働させ,管理コンソールから常時監視する。

 実稼働デモは,新種のウイルスが社内ネットワークに侵入した状況を想定した。システム部門側の管理コンソールから,パソコンのサービス・パーティションにアクセス。サービス・パーティションを経由して,ユーザー・パーティションのネットワーク利用を一時的に遮断した(画面)。

 さらに管理コンソールからパソコンのサービス・パーティションを操作して,ユーザー・パーティションのOSにパッチをインストール。終了後,ユーザーのネットワーク利用を再度許可する。「一連の対策を,クライアント・パソコンの利用を止めずに実行できる。次世代のセキュリティ対策が可能になる」とインテル マーケティング本部の岩本成文氏は説明する。

 「ユーザーに裏側の仕組みを意識させることなく,安全なクライアント環境を構築・維持できる。しかも,これだけの作業を実行しながら,パソコンのパフォーマンスは低下しない」(インテルの阿部マーケティング本部長)。

 情報漏洩の危険性が指摘される中,シン・クライアントに注目が集まっている。こうした傾向についてインテルは,「シン・クライアントは自由度が制限されるため,個人の生産性を高めにくい」(阿部マーケティング本部長)という考え方を示している。

 Averillを搭載したデスクトップ・パソコンの登場時期は今年後半。「遅くならない時期には使えるようになる」(阿部マーケティング本部長)。ノート型パソコンについては2007年前半としている。