「住友電気工業は2005年にPostgreSQLを社内システム向けの標準DBMSとして採用,新規システムでは原則としてPostgreSQLを採用している」---住友電気工業のシステム子会社 住友電工情報システム 取締役社長 岩佐洋司氏は,2月17日の日本OSS推進フォーラムセミナーで同社のオープンソース・ソフトウエア活用について講演した(関連記事)。

 住友電気工業は2000年からLinuxを標準サーバーOSとして採用,現在300台以上のLinuxサーバーが生産管理やSCM,受注,人事給与,経理など80以上基幹システムのサーバーとして稼動している。Javaサーブレット・エンジンのTomcatも多くのサーバーで利用している。

 また,同社が独自に開発したWebアプリケーション・フレームワーク「楽々Framework」により生産性や保守性を高めていることも,同社の情報システムの特徴だ。300種類のプログラム・パターンとデータベース定義からWebアプリケーションを自動生成する機能を備えており,住友電工情報システムから外部への販売も行っている。

 同社がオープンソースのデータベースの導入を始めたのは1999年。パイロット・システムとしてPostgreSQLは全社ポータル・システム,MySQLはシングルサインオン・システムで使用してみた。MySQLは高速だが機能はシンプル,PostgreSQLは高機能という評価だったが,最終的に2005年,今後の新規システムはPostgreSQLで構築することに決定した。

 PostgreSQL採用にあたっては,データ件数合計1億件以上の環境での性能評価などの検証も行った。その結果はDOA+コンソーシアムのサイトで公開している。

 オープンソースの採用に際し,トラブルがなかったわけではない。Linuxの場合はデバイス・ドライバによるトラブルが大半で,RAIDカードのドライバの問題でOSのインストールに3週間を要したこともあったという。Tomcatは,5年間の基幹システムの利用でほとんどバグはなかった。

 オープンソースを活用した成果として,同社では「ハードウエアおよび基本ソフトの費用を大幅に削減できた」(岩佐氏)としている。また,オープンソース・ソフトウエアの技術進歩が早いため,最新技術を早く享受できること,容易に実験し評価できることもメリットとしてあげている。

 また同セミナーでは,UFJIS オープンプラットフォーム部プロジェクトリーダー 梅田康吉氏が三菱東京UFJ銀行と三菱UFJフィナンシャルグループでのLinuxブレード・サーバー活用について講演した。グループで現在,200ノード以上のLinuxサーバーが稼動しているという(関連記事