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 4月1日付けで程 近智氏(45歳、写真)が新しくアクセンチュア日本法人の代表取締役社長に就任する。現社長の村山徹氏は取締役副会長になる。程氏は現在、アクセンチュアの代表取締役通信・ハイテク本部統括本部長を務めているが、新社長に就任した後も、通信・ハイテク本部統括本部長は兼務する。程氏に日本法人としての今後の方針などを聞いた。

問 社長就任後は何を目指すのか。

 アクセンチュアはビジネスコンサルティングがメインのように思われているが、まずはこうしたイメージを変えていきたい。日本法人では既にシステムインテグレーション(SI)事業の社員が半分以上を占めており、多くの実績がある。単なる上流コンサルティングだけではなく、システムの運用まで含めて顧客に貢献できることをもっと訴求したい。

 そうした一環の中で、特に日本法人ではアウトソーシング事業の強化が課題になる。ワールドワイドで見ると、アクセンチュア全体におけるアウトソーシング事業は既に売り上げの38%を占めているほどになっている。

 だが日本法人の場合、売り上げの10%以上ではあるが、まだ38%には達していないなどワールドワイドでは遅れている。そこで、まずはアウトソーシング事業を伸ばし、ワールドワイドと同レベルにする。そうなれば、ビジネスコンサルティング、SI、アウトソーシングの各事業のバランスが良くなるし、新しいビジネスモデルにもつながる。アウトソーシングもSIの延長にあると言えるから、顧客の要望に応じて様々な選択肢を用意できることが、当社の大きな強みなるはずだ。新規顧客を広げるというより、既存顧客の深堀が中心になるだろう。

問 アウトシーシング事業を伸ばすための方策は。

 アクセンチュアのグローバルな経営資産が大きな武器になる。それが「グローバル・デリバリー・ネットワーク(GDN)」と呼ぶ組織で、システムの開発や運用、入力やコールセンターなどの業務まで行うためのアウトソーシング事業を行うための拠点だ。

 既にスペインや東欧のスロバキア、アジアではインドや中国、フィリピンなど全世界に約40カ所の拠点があり、約3万5000人が従事している。日本法人の社員だけでは全体で約2500人しかいないが、こうしたGDNを活用することで顧客の様々なニーズに対応できるだろう。特に最近はアウトソーシング事業も幅が広がっており、いわゆるITアウトソーシングやBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、組み込み系もある。こうした様々な業務も、GDNを活用することで効率よく処理できるようになる。

問 GDNを活用した実績は。

 GDNは2002年からスタートしており、これまでのノウハウも蓄積されている。面白いことに拠点ごとに強みがあり、例えば中国・大連の拠点はオープン系のシステムやERP(統合基幹業務システム)だったり、フィリピン・マニラの拠点はメインフレームの実績が多い。日本法人も2003年からGDNを活用しており、日本企業のユーザーも増えている。

 ワールドワイドではアクセンチュア全体の成長は年率で10~14%ぐらいある。当然、日本法人も負けないように成長しなくてはならない。アクセンチュア全体の成長と同期を取ることが日本法人にとってもビジネスの効率がよくなるし、日本法人のプレゼンスも高まる。そのためにも日本法人のアウトソーシング事業をワールドワイドと同レベルにする必要が出てくる。アクセンチュアのグローバルな経営資源を生かし、今後もハイパフォーマンスな日本企業をもっと支援していきたい。