NHKが再放送する番組を増やす方針を打ち出している。一連の不祥事の影響で,受信料収入が減っていることを受けた経費削減措置だ。再放送番組を増やし,新たな番組制作に伴う出費を抑える。

 ただ,再放送が増えることで困る人たちがいる。それは番組の出演者だ。再放送が増えれば新作の番組への出演機会が減る。出演機会が減れば,出演料収入が減ることになる。

 実は同じ構造が放送事業者による番組のインターネット配信にもある。政府や通信事業者はNHKや民放業界に対して,過去に地上波で放送した番組をより積極的にインターネットで流すよう求めている。しかし出演者にとっては,インターネット向けに独自に番組を制作してくれた方がありがたい。放送済みの番組をインターネットで配信することによって出演者が得られる分け前よりも,新たな番組制作によって得られる出演料の方が多いからである。番組出演の機会損失を危惧し,著作権者の権限として放送済みの番組のインターネット配信を認めない出演者が少なくない(詳細は日経ニューメディア2006年2月20日号に掲載)。

■お知らせ■
 日経ニューメディア は,これから続々と登場する携帯端末向けの地上波放送に焦点を当てた 「始動!携帯電話とデジタル放送の融合」 と題した特別セミナーを3月6日(月),東京・外苑前の日本青年館で開催します( 詳細はこちら )。 今回のセミナーでは,NHKや民放各社が4月1日から開始する「ワンセグ」の最新情報を入手できるだけでなく,米QUALCOMMやKDDIが事業化を計画している「Media FLO」技術を使った携帯電話向け放送サービスなど,移動通信事業者の新規参入構想を各社のキーマンに解説していただく予定です。今回のセミナーは,日本における今後の通信・放送融合の行方を見通せる,またとない機会になるでしょう。この機会に,ぜひご参加ください。