写真1 テレビ電話の映像の表示先をPDA画面からテレビ画面に自動的に切り替えるデモ MMDと機器のプレゼンス情報が連携することで実現する。
写真1 テレビ電話の映像の表示先をPDA画面からテレビ画面に自動的に切り替えるデモ MMDと機器のプレゼンス情報が連携することで実現する。
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写真2 今回の「ウルトラ3G」デモの構成図
写真2 今回の「ウルトラ3G」デモの構成図
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 KDDIは2月16日,固定通信と移動通信を統合する次世代ネットワーク「ウルトラ3G」のデモンストレーションを初公開した。ユーザーの状態に合わせて最適なネットワークに自動的に切り替わるデモなど,ウルトラ3Gが目指すサービス像の一端を表現してみせた。

 ウルトラ3Gのべースとなるのが,CDMA2000関連の標準化団体「3GPP2」で策定が進むIPベースのアークテクチャ「MMD(multimedia domain)」。MMDは,固定や移動通信などのアクセス手段に依存しないサービス提供を可能にするため,さまざまなFMC(fixed mobile convergence)サービスを実現する技術。3GPPでいうIMS(IP multimedia subsystem)に相当する。

 今回のデモではテレビ電話の映像の表示先を自動的に切り替えるところを見せた(写真1)。表示先にはPDA(携帯情報端末)と,ネットワーク接続したテレビの2種類を用意。これらの機器には,MMDのシステムに対して利用状態の変化を送信するプレゼンス機能を組み込んである(写真2)。テレビの電源が入った時には,映像の表示先としてテレビを優先するルールを用意することで,状態によって最適なネットワークに自動的に切り替わるシステムを作り上げた。

 デモではさらに,テレビ電話の映像の表示先だけがテレビに切り替わり,音声通話部分はPDAのままにする様子も披露。ウルトラ3Gならではのフレキシブルな通信形態も見せた。

 ただし今回のデモ内容を実際のサービスで実現するためには,ウルトラ3Gに対応したプレゼンス機能をさまざまな機器に組み込む必要がある。KDDI技術統轄本部の渡辺文夫技術開発本部長は「今回はあくまでウルトラ3Gの可能性を見せるためのデモ。実際にサービスを導入するかどうかはこれから検討する」と語る。KDDIとしては,さまざまな事業者がウルトラ3Gと連携しやすいプラットフォームを作る方向も検討しているという。