写真1:サミットが実施する,肉や魚のパックを追跡するトレーサビリティ・システムの実証実験
写真1:サミットが実施する,肉や魚のパックを追跡するトレーサビリティ・システムの実証実験
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写真2:店舗のバックヤードに設置した計量・包装機。識別ラベルをパックに付与する
写真2:店舗のバックヤードに設置した計量・包装機。識別ラベルをパックに付与する
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写真3:パックに貼られたQRコード。識別用の番号はこのQRコードとして書き込まれている
写真3:パックに貼られたQRコード。識別用の番号はこのQRコードとして書き込まれている
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写真4:情報端末を操作する消費者
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 流通大手のサミットは,ユビキタス分野の技術を使った,食品のトレーサビリティ実証実験を開始した。

 実証実験のポイントは,小売店で切り分けた肉や魚のパックに,固有の識別ラベルを割り振ること。サミット店舗のバックヤード(作業場)に,機能を追加した計量・包装機を設置。この機械と実証実験のシステムを連動させて,固有のラベルを発行・管理する。

 個々のパックを識別ラベルで区別することで,原材料の不備など食品事故が発生した場合にも,どのパックが該当するかを判別しやすくなる。小売店で切り分けた肉や魚のパックを個別に追跡できる仕組みは,これが初めて。

 実験では坂村健東京大学教授が提唱している「uID(ユビキタスID)」を採用した。uIDは,モノや場所を区別するための二つとない番号「ucode」を発行することが特徴である(参考記事)。

 バックヤードの計量・包装機は,ネットワークを介してuIDのシステムにアクセス。パックを包装するたびにucodeを取得し,ucodeを書き込んだラベルを印刷。パックに貼り付ける。パックの原材料情報や加工情報などは,ucodeにひも付けた上で,別途サーバーに登録する。

 ucodeは,ラベルに印刷された2次元バーコード「QRコード」に書き込まれている。サミット店頭の情報端末にパックのQRコードをかざすと,情報端末はucodeをキーにしてサーバー側の情報を検索。原材料情報や加工情報,流通経路を表示していく。サミットの八ヶ代(やかしろ)透 常務取締役営業本部長は,「消費者に食品情報を開示する必要性がますます高まっている。今回の実験で,情報開示や安全性向上の方策をさらに追及したい」と話す。

 実証実験を展開するのはサミットストア 三鷹市役所前店。2月13日から2月23日までの10日間実施する。実験はサミットのほか,坂村健東京大学教授が率いる団体「T-Engineフォーラム」が主催する。農林水産省の支援事業「ユビキタス食品情報基盤システム実証事業」の一つ。

 農林水産省の萩原秀彦 消費・安全局 消費・安全政策課トレーサビリティ企画調整班課長補佐は,「今回の実験を通して,社会基盤としての食品トレーサビリティの普及・定着をいっそう推進したい」と語る。